EV祭りで盛り上がるも課題は山積み? 今後のEV普及に必要なモノとは

まだEV普及の課題はある? 寒冷地や整備などはどうなるのか?

 これら以外にも、EVは寒冷地に弱いという意見も根強くあります。2020年12月に関越道で発生した立ち往生のトラブルでは、2000台あまりのクルマが最大で2日間にわたって大雪の高速道路上で取り残されました。

 そもそも寒冷地ではバッテリーのパフォーマンスが悪くなるうえ、「電欠」を起こしてしまうとガソリン車以上に復帰が難しいなどの理由で「EVで立ち往生してしまったらどうすればよいのか」というコメントがインターネット上でも多く見られました。

 幸い、立ち往生した2000台あまりのなかにEVは皆無だったと見られますが、それは現時点で寒冷地ではEVが適していないということを物語っているといえるかもしれません。

 しかし、トヨタは2021年4月19日に新型EVとなる「bZ4X」を発表していますが、車両概要として、「回生エネルギーの活用に加え、停車中も賢く充電をおこない、EVならではの環境性能をさらに上積みする、ソーラー充電システムを採用。冬場などでもお客さまに不便を感じさせない航続距離を確保」と説明するように今後は寒冷地での課題も解決されるかもしれません。

現時点では1回あたりの充電時間も普及の足枷となっている
現時点では1回あたりの充電時間も普及の足枷となっている

 また、EVをはじめとする電動車は、ガソリン車以上に整備が難しいというデメリットもあります。

 モーターをはじめとする基幹部品は、正規ディーラー以外で整備をするのはほぼ不可能と考えたほうが良いでしょう。

※ ※ ※

 ここまで、一般ユーザーにとってEVが普及しない理由を述べてきました。これ以外にも、EVの普及には数え上げればキリがないほどの課題があるでしょう。

 しかし、だからといってEVが普及しないとはいえません。日本でクルマが走るようになっておよそ100年、一般の人々に普及するようになっておよそ50年、これだけの時間を経て、いまのカーライフスタイルが成立しているのです。

 環境問題やエネルギー安全保障上の問題を考えると、電動化が進んでいくことは疑いようがありません。

 航続距離や充電環境、価格といった現時点での課題は技術の革新や法整備によってゆるやかに解決していくことでしょう。

 一方、ガソリン車もある日から突然無くなるということもありません。数十年という長い時間をかけて、ゆっくりと電動化社会へとシフトしていくと考えられます。

 したがって、現時点でガソリン車を好む人はガソリン車を買えばよく、EVに関心がある、あるいはEVのほうがメリットがあるという方はEVを買えばよいでしょう。

 こうした過渡期におけるわれわれ一般ユーザーは、さまざまな選択肢があるということをむしろ喜ぶことが大切なのではないでしょうか。

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