「六本木のカローラ」価格上昇中! 日本から流出した「M3」と「325iX」の驚きの値段とは

六本木のカローラと呼ばれたBMW「3シリーズ」のなかでも、特に個性的で高額だった「M3」と「325iX」の現在の評価を最新オークション結果から考察する。

日本でも価格が上昇しているE30型3シリーズの海外での評価はいかに

 1960年代前半に発売されたBMWの「1500シリーズ」は、ノイエクラッセ、英語でいうところのニュークラスと呼ばれた、ヒット車だった。

 その後このシリーズは「1602」、「1802」、そして「2002」と進化を続けるとともに、モータースポーツでも活躍をしたことから、BMW=ドライビングカーというイメージを決定づけている。

「六本木のカローラ」と呼ばれたE30型3シリーズは、「M3」だけでなくすべてのモデルの価格が上昇傾向気味である(C)2021 Courtesy of RM Sotheby's
「六本木のカローラ」と呼ばれたE30型3シリーズは、「M3」だけでなくすべてのモデルの価格が上昇傾向気味である(C)2021 Courtesy of RM Sotheby's

 この02シリーズのあとを継いだのが、BMW3シリーズである。初代は1975年から1983年まで生産されていたE21型である。丸目2灯のヘッドライトと逆スラントノーズは、キドニーグリルを見ずともBMWとわかる特徴的なものだったが、1979年のマイナーチェンジでセダンはヘッドライトが4灯化され、上級モデルに近いイメージとなっている。

 そして1982年に登場したのが、日本でもヒットしたE30型3シリーズである。おそらく、日本でBMWというクルマが一般に認知されたのは、このモデルが最初ではなかっただろうか。

 バブル期の六本木や青山、赤坂などでよく見かけられたE30型3シリーズは、「六本木のカローラ」とも呼ばれるほどであった。ちょうど同時期、メルセデス・ベンツ「190E」も大ヒット。そのころ20歳代前半だった自分は、がんばって「M3」を買うか「190E2.3-16」を買うか、スキーにいくことを考えて「325iX」を買うか……と、妄想を巡膨らませていたほどだ。同じように悩んだ人も多いことだろう。

 その325iXというクルマは、BMWが市販車としてはじめてつくった4WD車である。搭載しているエンジンは170psの2.5リッター直列6気筒で「325i」と同じエンジンである。

 フルタイム4WDシステムを採用したことから、スパイクタイヤが使えなくなった初期のスタッドレスタイヤ時代(1990年代初頭)において、雪道での優位性が高かった。

 当時のフルタイム4WD車というと、ラリー由来のスバル「レガシィ RS」や三菱「ギャラン VR-4」などもあったが、イメージとして「BMWってオシャレ」的なところも魅力だった。

 もちろん325iXは、当時の収入では買えるわけもなく、結局自分はギャランを買ったわけだが。ちなみに、1988年当時の325iXの車両価格は598万円、M3の車両価格は758万円であった。

 さて、世界的に見ても大ヒットといっていい販売台数を記録したE30型3シリーズは、中古車市場での流通台数も多いように思われるのだが、実は状態のいい中古車は少ない。

 M3のように、「M1」由来の4気筒エンジンを搭載したホモロゲーション車両といったヒストリーを持つクルマであれば、新車当時から大事に扱うオーナーも多く、状態のいい車両が中古車市場に流通する。ところが、325iXのようなファミリーカーの場合には、ハードに使用され乗り潰されてしまう個体が多く、さらにメンテナンスをしっかり受けている車両が少ない。結果として状態のいい個体が、中古車やオークションマーケットに出てくるのは非常に稀なケースとなる。

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