「アルファードひとり勝ち」に待った!? 韓国高級ミニバン「スターリア」猛追か 高級ミニバン市場どうなる?

「アルファードひとり勝ち」の高級ミニバン市場になぐりこみ?

 スターリアには、さまざまなバリエーションがラインナップされるため、想定されるターゲットも多岐にわたります。しかし、そのなかでもやはり注目されるのは、豪華仕様のスターリア プレミアムが設定されたことです。

 その背景にあると考えられるのは、やはりまず中国を中心としたアジア市場でしょう。

 2000年代以降に伸長してきたこれらの新興国市場は、欧米とも異なる価値観を持っています。

 その一例として、「ウチ(内/家)」の文化を持つ中国では、走る・曲がる・止まるといったクルマの基本性能と同等以上に、室内空間の広さを求める傾向があるといわれています。

 その証拠に、中国で販売されるドイツ系高級セダンなどは、「Cクラス」や「3シリーズ」などであっても、そのほとんどにロングホイールベース仕様を設定。

 そして、当然のことではありますが、より大きな室内空間を求めると、ミニバンが最適解となります。

台湾で販売されるトヨタ「アルファード」。台湾ではレクサス「LM300」も販売されるなど高級ミニバンへの需要が高い(画像:台湾仕様)
台湾で販売されるトヨタ「アルファード」。台湾ではレクサス「LM300」も販売されるなど高級ミニバンへの需要が高い(画像:台湾仕様)

 一方、欧米メーカーでは高級ミニバンというカテゴリーが、日本やアジアほどメジャーではありません。

 実際に、日本で販売されている高級ミニバンを見ても、アルファード以外では日産「エルグランド」やホンダ「オデッセイ」などの国産車の選択肢はありますが、輸入車ではメルセデス・ベンツの「Vクラス」といった程度です。

 欧米の場合、「多人数乗車×プレミアム」というカテゴリーは、高級SUVがそのニーズを担っており、その傾向はアジアを含む全世界へも波及していますが、高級ミニバンに関しては国産メーカーが圧倒的なシェアを持っているといえます。

 日本では2009年以来乗用車市場から撤退しているヒュンダイですが、近年ではグローバルでの販売台数を順調に伸ばしており、コストパフォーマンスに優れたクルマとしての地位を得ています。

 かつてコストパフォーマンスの良いクルマといえば、日本メーカーのお家芸でしたが、ここ10年のヒュンダイの基本戦略は、コストパフォーマンスが良く、かつデザインの良いクルマを積極的なマーケティングとともに販売することでした。

 そして、いくつかの地域では日本メーカーをしのぐ販売台数を稼ぐほどに成長しています。

 つまり、ヒュンダイはスターリア プレミアムによって、アルファードにほぼ独占されているアジアの高級ミニバン市場において、真っ向勝負を挑むものと考えられるのです。

 アルファードが比較的「正統派」のプレミアム感を打ち出しているのに対し、スターリア プレミアムは「先進性」という新しい魅力をアピールしているのも、そうした背景からといえるかもしれません。

 また、おそらく近い将来に、スターリアシリーズに、ハイブリッド(HV)やプラグインハイブリッド(PHEV)、そして電気自動車(EV)といった、電動化された派生モデルも登場すると想定され、もしEVの高級ミニバンが登場すると、現時点ではほぼ唯一無二の存在となります。

 もちろん、高級SUVなどに比べれば高級ミニバンは非常にニッチな市場であり、巨額の開発費をまかなえるほどの販売台数が稼げるのかは定かではありません。

 しかし、スターリア自体は商用ニーズを含めた多くのバリエーションをもつモデルのため、ある程度の販売を見込めることは間違いありません。ここがヒュンダイのうまいところといえるでしょう。

※ ※ ※

 現時点では、限られた情報しか公開されていないスターリアおよびスターリア プレミアムですが、ヒュンダイは2021年前半に予定するデジタルワールドプレミアで正式にデビューさせるとアナウンス。

 日本市場に導入される可能性は現時点では低いと見られますが、一方でヒュンダイは日本市場復帰に向けて着々と準備を進めているという噂もあります。

「アルファード一人勝ち」ともいえる日本の高級ミニバン市場ですが、もしかしたら近い将来にスターリア プレミアムが台風の目となる日が来るかもしれません。

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Writer: PeacockBlue K.K. 瓜生洋明

自動車系インターネット・メディア、大手IT企業、外資系出版社を経て、2017年にPeacock Blue K.K./株式会社ピーコックブルーを創業。グローバルな視点にもとづくビジネスコラムから人文科学の知識を活かしたオリジナルコラムまで、その守備範囲は多岐にわたる。

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