新型「ヴェゼル」よりスタイリッシュな中古レンジローバー「イヴォーク」を狙え!【中古知新】

「フリーランダー」のチョップド・トップ版「イヴォーク」

 2011年末、レンジローバー・イヴォークがはじめて東京の街を走り出した時のことは、すごく印象的で、今でもはっきり憶えている。まわりを走るクルマや景色が、色あせて、ものすごく古びて見えるくらいに輝いていた。

 フェンダー・アーチに沿って付いた樹脂のパーツが20インチのタイヤをさらに大きく見せていたし、何よりぐっと寝かされたフロント・ウインドウと、そこに連なる低いルーフと高いショルダーのラインによって生まれた狭いキャビンが、ものすごくクールなものに見えた。

 もし1960年代にスーパーカーが街を走っていたら、こんな風だったのではないか。そんなことが頭に浮かんだ記憶がある。

●フリーランダー2のチョップド・トップ仕様

「イヴォーク」は「フリーランダー2」のチョップド・トップ版といっていいだろう
「イヴォーク」は「フリーランダー2」のチョップド・トップ版といっていいだろう

 このイヴォークのベースとなったのは、ランドローバー「フリーランダー2」という、実直な小型SUVである。小型とはいえあくまでランドローバー社のなかでのことなので車幅は1.9m以上と、けっして小さいクルマではない。

 けれど視点は高く、クルマの四隅が把握しやすく、背筋を立てて座るシートはサイズが大きく身体をよく支えてくれるから、取り回しはとてもしやすかった。

 ランドローバー社のクルマらしく悪路走破能力はもちろん高いが、どんな悪路だろうと前に進むには、いかに人を疲れさせないかも重要なポイントである。フリーランダー2は、そういう実用車として肝心なところをけっして外してない、隠れた名車だったと思う。

 簡単にいってしまえば、イヴォークはこのフリーランダー2の屋根を切り飛ばし、ピラーを短くしてもう1度取り付けた、いわば「チョップド・トップ」である。

 フリーランダー2とイヴォークの3ドアを比べると、なんと全高は135mmも低いのだ。もちろん、単純にルーフを下げたら、座っている人の頭が天井を突き抜けてしまうから、室内フロアも27mmとかなり下げられている。

 そんじょそこらの会社だったら、そのまま何もせずに市販化されたかもしれないが、そこは悪路走破性に一家言ある老舗ランドローバー社だ。その看板が許さなかったのだろう。床下のメカニカル・コンポーネンツを再配置するなどし、最低地上高210mmと渡河水深限界500mmは確保された。数値的には、フリーランダー2と何ら変わっていないのだ。

 上下からしわ寄せが来た室内はさぞ狭いかと思えば、実際に座ってみるとそうでもない。とくに絶望的に狭そうに見える後席は、座面の厚みもちゃんとあって、想像よりもずっと快適だ。

 ただし、スペースそのものよりも、気になるのはシートのポジションである。とくに前席は着座位置が低く、背もたれをやや寝かせるレイアウトなのだ。シートも上体から丁寧に身体をサポートするフリーランダー2と違って、腰まわりのサポートが強い印象だ。伝統的な高い位置からまわりを見渡すようなポジションではなく、どちらかといえばスポーツカー的なのである。

 なお、イヴォークはHR-V同様に3ドアと5ドアの設定があるが、より室内空間が広く、車体を把握しやすいのは当然5ドアのほうだ。ただし、格好良さは比べるまでもなく3ドアのほうである。

【画像】「ヴェゼル」と「イヴォーク」を写真で徹底比較!(36枚)

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