産学官連携でどう進む? 自動運転推進の国家プロジェクト「SIP-adus」の現状とは?
クルマに向けたサイバー攻撃への対応策は?
CASE戦略のC(コネクテッド)が進むにつれ、車両に対するサイバー攻撃が予想される。
これに対し、個社での対策や国連、国レベルでの法整備が進められているのが現状だ。
2015年には、米国で自動車関連情報に対するサイバー攻撃の脅威や潜在的な脆弱性に関する知見を共有し、分析するための安全なプラットフォームを確立することを目的として、Auto ISAC (The Automotive Information Sharing and Analysis Center)が設立されている。
日本国内でも2019年の道路交通法および道路運送車両法の改正によって通信によるソフトウェアの大規模なアップデートが可能になるなど、サイバーセキュリティに対する情報共有の重要性や性能評価手法のガイドラインが求められるようになってきた。
SIP-adus では、ファーストステップとして、JASPAR(Japan Automotive Software Platform and Architecture)と連携して、サイバーセキュリティの評価手法の確立に着手。
その後、2021年2月には、日本自動車工業会(JAMA)に所属する自動車メーカー全14社と日本部品工業会に所属する主要サプライヤー7社が発起人となり、一般社団法人Japan Automotive ISAC(J Auto ISAC)を設立。
SIP-adusではサイバー攻撃検知技術である車載IDSの評価方法を調査研究し、J Auto ISACで情報共有し防御防災する体制づくりを進めている。
また、過疎化が進むなか、山間地域における自動運転移動サービスの社会実装に向けた実証実験と持続可能なビジネスモデルの検討が進められており、また自動運転の普及拡大を見据え、交通環境に関する地理系データを多用途に展開するためのポータルサイト「MD communet」が構築された。
このMD communetは、交通環境情報の活用によって社会課題の解決や新たな価値の創造を目的としたもので、データ提供者と利用者との情報交換の場を提供し、世の中に埋もれているデータを利活用するための仕組みづくりを目指すものだ。
そしていま、29の国内外の企業・学術組織などが参加し、マッチングファンド形式で大規模な自動運転実証実験を実施中だ。
自律走行可能な自動運転車が、臨海副都心地域、羽田空港と臨海副都心などを結ぶ首都高速道路、羽田空港地域で、信号機や車線など、道路インフラからの必要な交通環境情報を活用して6万4591km(2021年2月末)の走行を重ね、安全な自動運転を実現に向けた有効性やそのために必要な情報の要件などを獲得している。
SIP自動運転は、今後、自動運転を利用するために必要な知識を明確にして、教育すべき内容を整理するとともに、効果的な教育方法を開発。
そして人文、社会科学の視点も含む総合知をフル活用し、サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する人間中心の社会「Society5.0」を具現化したものとして自動運転社会の実現を目指していく。
SIP第2期自動運転中間成果発表会は、リアルとオンラインのハイブリッドで開催され、2021年4月30日まで展示ホームページで、その内容を見ることができる。
<
コメント
本コメント欄は、記事に対して個々人の意見や考えを述べたり、ユーザー同士での健全な意見交換を目的としております。マナーや法令・プライバシーに配慮をしコメントするようにお願いいたします。 なお、不適切な内容や表現であると判断した投稿は削除する場合がございます。