なぜ新車販売店でセールスしない? 日産が取り組む新たな施策とは

これまでの新車ディーラーでは、「クルマを売る」ことが主たる業務でしたが、日産はセールスをおこなわないスタッフを新たに配置したといいます。なぜセールスをしないスタッフが存在するのでしょうか。

なぜ日産はクルマを売らない手法を展開するのか

 近年のディーラーではかつてのように「クルマを販売」、「メンテナンス」以外にさまざまなサービスを展開しています。
 
 一方でディーラーには主に営業スタッフと整備スタッフが存在していますが、どちらにも属さずセールスをおこなわないスタッフが登場したといいます。
 
 クルマを売ることが主たる部分にも関わらず、なぜセールスをしないスタッフが存在するのでしょうか。

日産が新たに取り組むブランド体験型店舗と体感プログラム「HELLO NISSAN」
日産が新たに取り組むブランド体験型店舗と体感プログラム「HELLO NISSAN」

 2021年3月25日、日産は国内の販売会社5店舗において、ユーザーが日産の先進技術を体感出来るブランド体験型の店舗を本格的に稼働させました。

 ブランド体験型店舗とは、購入検討の初期段階のユーザーにとってより来店し易い店舗形態で、日産ブランドの濃密な体験を提供することが目的だといいます。

 2019年秋に神奈川日産自動車の百合ヶ丘店にてトライアル運用を開始し、多くのユーザーから人気を博したことで、全国5店舗に皮切りに、順次全国展開を進めていくとしています。

 「HELLO NISSAN」という体感プログラムでは、セールスをおこなわず、ブランド体験の提供を専門でおこなうスタッフ「日産ブランドクルー」を配置。

 このブランドクルーは、日産ブランドや先進技術に関する深い知識を有することで、日産ブランドへの関心度が低いユーザーへ情報提供し、ユーザーの購買意欲を高める存在として活動します。

 また、同時に展開されるブランド体験店舗では、これまでの通常店舗ではおこなっていない長時間試乗を通じて、ユーザーに日産の先進技術を体感してもらうプログラムを実施。「電気自動車コース(90分)」、「1台じっくりコース(90分)」、「ハンズオフコース(120分)」から選ぶことが出来るといいます。

 実際に体感したユーザーからは「先進機能になれてしまったら他のクルマに乗れないくらい素晴らしい体験だった。プロパイロットパーキングは、人をちょっとでも感知すると停まる。これはすごい。今回は一人で行ったので、また家族と行きたい。(40代男性、他社オーナー)」などのユーザーボイスがあったようです。

 HELLO NISSANについて、日産の執行役副社長 星野朝子氏は、次のように述べています。

「ブランド体験型店舗では、セールス活動を一切おこなわないブランドクルーが、楽しく、分かり易く、数々の日産の先進技術を説明し、体験プログラムをサポートします。

 まだ日産車を詳しくご存知ない人にも、興味をお持ちでない人にも、必ず、楽しんで、驚いて、感動していただけます。

 今回の本格稼働を皮切りに、今後は、もっと多くの店舗で、先進技術のもたらすワクワクをお届け出来るよう取り組んでまいります」

※ ※ ※

 昨今の自動車メーカーでは、これまでのセールス手法以外にトヨタではサブスクリプションサービスとして「KINTO」を展開しています。

 そのほか、全国各地に点在するディーラーは、今後モビリティ社会のサービス拠点、電気自動車の充電や将来的には燃料電池車の充填場所としての活用が期待されています。

 また、滋賀県大津市中心部にある長等商店街には、滋賀トヨペットの「BOSS百町物語」というクルマを展示しないディーラーを展開。

 商店街の利用客に気軽に立ち寄ってもらうという狙いがあり、近隣の観光名所の案内などもおこなっており、地域のコミュニティとして活用されているようです。

 自動車産業では、「100年に一度の大変革の時代」といわれるように、これまでの手法に囚われないサービスが求められており、今後も日産やトヨタなどの取り組みが普及していくとみられます。

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Writer: くるまのニュース編集部

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