最近の車は柔らかい? 洗車でうっかりボディが歪む!? ヘコませないための注意点
背の高いクルマなどを洗車する場合、思わぬところでボディを凹ませてしまうケースが増えています。今回は、クルマの修復や修理のプロである整備士に、どんなケースでボディが凹んでしまうのか、修復ができるものなのか、またヘコませないための注意点などを聞いてみました。
ボディは柔らかくキャビンは強固にして衝撃を受け止めて乗員を守る構造
背の高いクルマなどを洗車する場合、バンパーやサイドシルなどに足をかけてボディに体重をかけたり、よじ登ったりすることがあります。
実はそんな些細な行動で、思いがけずボディがヘコんでしまうケースが増えているようです。
これは、事故での安全性を高めるべく衝撃吸収構造を採用した結果、クルマの外装パーツが柔らかく作られているからといわれています。
しかしこの衝撃吸収構造は思いのほか柔らかく、洗車時はもちろん、ちょっとした拍子にボディが凹んでしまったり、ボディに取り付けられた外装パーツなどの向きや位置がズレたりゆがんでしまうこともあるといいます。
一体どんなことをするとボディがヘコんでしまうのでしょうか。
現在多くのクルマが採用する衝突安全ボディですが、日本の衝突安全性については、1993年に施行された「道路運送車両の保安基準」の改訂が大きく影響しています。
前面衝突試験が義務付けられ、これ以降は衝突実験で安全性の格付けがはじまり、基準をクリアしなければならなくなりました。
現在はオフセットされた位置からの衝突に対してもキャビンを守るために、衝撃を吸収する衝撃吸収構造(クラッシャブルゾーン)と、強固な作りで乗員を守るキャビン構造(セーフティゾーン)を組み合わせています。
また、ABSや衝突被害軽減ブレーキとも連動し、乗員だけでなく衝突してしまった自車以外の歩行者やモノに対しても被害を軽減させるべく工夫されています。
しかし、この衝撃吸収構造が進化した結果、軽微な接触はもちろん、体重をかけたり押しただけでボディがヘコんでしまうことがあるのです。
現代のクルマのボディについて、埼玉県の整備工場に勤める整備士 F氏に聞いてみました。
「確かに最近のクルマはボディパネルやバンパーの素材が柔らかくなっています。SUVやミニバンなど車高が高いクルマは、洗車時にタイヤやサイドシル、バンパーなどに足をかけた瞬間に、ボディがヘコむような柔らかさを感じることがあると思います。
さらに安全性と軽量化のため、ヘッドライトユニットなどが取り付けられるインナーステーやブラケットもかなり簡素化されています。そのため、気がつかないうちにヘッドライトユニットが押されて、光軸がズレているクルマも多いです」
またボンネットやフェンダー部分なども柔らかい素材を使った構造のため、ゆがみが生じやすいといいます。
「クルマに寄りかかるのも控えたほうがいいでしょう。実際、ガソリンスタンドでクルマの扱いに慣れている店員が、洗車作業中に手をついただけでヘコませてしまったことがあるくらいです。それほど現在のボディはヘコみやすくなっているようです」(整備士 F氏)
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