なぜダイハツ販売店に路面電車の駅が存在? 摩訶不思議な光景の正体とは

愛媛県松山市のダイハツ販売店の敷地内には路面電車の駅が存在するといいます。なぜ、自動車を販売する場所に駅が存在するのでしょうか。

なぜダイハツ販売店に路面電車の駅が存在?

 愛媛県松山市を走る路線の一部区間が愛媛ダイハツ販売松山店の敷地の真ん中を通っているほか、その場所に駅まで存在する場所があるといいます。
 
 なぜ、敷地内に線路や駅が存在するのでしょうか。

宮田町駅に停車している伊予鉄道大手町線の路面電車(画像:ダイハツ松山店)
宮田町駅に停車している伊予鉄道大手町線の路面電車(画像:ダイハツ松山店)

 愛媛ダイハツ販売松山店の北側敷地を北東から南西にかけて、100m弱の距離を斜めに突っ切っているのは、伊予鉄道大手町線(環状線)の路面電車で、敷地部分には「宮田町駅」という停留所も存在します。

 路面電車が走る敷地内には愛媛ダイハツ販売の本社があり、愛媛県内で販売の中枢となる重要な店舗であることが伺えます。

 周辺にはフジグラン松山というショッピングモールや松山地方法務局があり、松山市でも栄えている場所であるようです。

 愛媛ダイハツ販売松山店を南西に抜けた大手町線は、両側4車線の愛媛県道19号線の中央を走り、南へと続いていきます。

 松山城から西に1kmと街中にあることもあいまって不思議な光景となっていますが、なぜこのような状況になっているのでしょうか。

 一風変わった場所にある路線と駅について、伊予鉄道の広報担当者は以下のように話します。

「1955年当時、路面電車の路線があった場所に、愛媛ダイハツ販売さんが別の場所から移転され店舗ができ、現在のようなお店を突っ切る形となったと聞いています。

 その後、1967年に宮田町の停留所が作られています。正直、当時の状況や詳しい経緯は分かりません。

 ですが、こういった店舗を線路が突っ切るケースは、少なくとも伊予鉄道のほかの路線ではなく、全国的に見てもまれなケースでしょう。

 店舗の敷地を突っ切っていますが安全性には配慮されており、利用されるお客さまからも特段お声をいただくこともありません。

 むしろ宮田町駅として当たり前の風景になっているという感覚すらあります。

 ショッピングセンターやスーパーがあることから、生活の足としても愛されている駅となっています」

 また、伊予鉄大手町線の宮田町駅の存在について、愛媛ダイハツ販売のスタッフは以下のように話します。

「昔から敷地内にあるので、とくに違和感は覚えません。むしろ停留所から徒歩0分という好立地ですので、クルマを持っていないお客さまにも気軽にお越しいただけると思います」

※ ※ ※

 地図を詳しく見てみると、大手町線の線路を境界線として、中古車販売を行う「愛媛ダイハツ販売U-CAR松山」と、新車販売や修理などのサービス部門のある「愛媛ダイハツ販売松山店」の店舗がそれぞれ存在します。

 実際にそれぞれのホームページには、「敷地内には伊予鉄市内電車の電停もあり、アクセスもしやすい立地となっております」と、交通の利便性をアピールしているようです。

 一見、変わった景色に見える伊予鉄道大手町線の宮田町駅ですが、愛媛ダイハツ販売や地元民からすると50年以上も前からある停留所となっており、地域に溶け込んでいる風景といえます。

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