女豹のフェラーリは1700万円で落札! 「308GTB」の最高値はFRPボディで間違いなし

もっとも価値が高いとされるノンレストア車の落札価格は?

 このほどRMサザビーズ「OPEN ROAD FEBRUALY」オークションにスイスから出品されたフェラーリ308GTBヴェトロレズィーナは、シャーシナンバー「#19135」である。

 デビューから間もない1976年にマラネッロのフェラーリ本社工場をラインオフしたのち、スイス・ローザンヌ在住の初代オーナーに新車としてデリバリーされた。

●1976 フェラーリ「308 GTB ヴェトロレズィーナ」

一度もフルレストアを受けていない「プリザーブド」である点も高値の理由となったフェラーリ「308GTB」(C)2021 Courtesy of RM Sotheby's
一度もフルレストアを受けていない「プリザーブド」である点も高値の理由となったフェラーリ「308GTB」(C)2021 Courtesy of RM Sotheby's

 ボディはいわゆる「ロッソ・コルサ」。フェラーリの赤に、ブラック本革レザーの組み合わせだが、驚くべきことに現在に至るまで全塗装や内装の張り替えはおこなわれていないとのことである。

 一方、新車時からか後世の追加かは明かされていないながらも、純正オプションとして指定されていたフロントの大型エアダムスカートが取り付けられているのは、外観における大きな特徴といえよう。

 唯一目立つ社外アフターパーツは、オリジナルの純正オプションでは旧式なカセットステレオとなるはずのオーディオが、近代的な高級ハイファイシステム「マッキントッシュMX406」ヘッドユニットに換えられていることだろう。ただし、マッキントッシュの特徴としてクラシカルなデザインであることから、1970年代的な雰囲気が大きく損なわれることもあるまい。

 この308GTBヴェトロレズィーナは、2006年に現在のオーナーにしてこのオークション委託者でもあるスイスの愛好家によって購入され、今なおスイスで過ごしている。

 オークションの公式WEBカタログを作成する段階で、走行距離は約5万2600km。45年間ノンレストアでオリジナル性を保ってはいるものの、写真を見る限りで正直な感想をいえばインテリア、とくにシートのレザー表皮には明らかな経年劣化や使用感も垣間見られる

 現オーナーは、2011年に新品のANSA社製フェラーリ純正指定のエキゾーストシステムに換装。また2006年に入手して以降の、すべてのメンテナンスを記録したドキュメントとサービスマニュアルも、今回の販売に際して添付されるという。

 フェラーリ308GTBのうち「ヴェトロレズィーナ」ボディの車両は、わずか712台(ほかに719台説など諸説あり)とレアであること。また、キャブレター仕様のエンジン+軽量なFRPボディを持つことから、一連の308GTBのなかでももっともピュアと目されている。

 それだけに、クラシックカー市場がピークを迎えた2010年代中盤には、2000万円を大きく超える取り引きが常態化していたのだが、近年では1500万円前後で落ち着いているようだ。

 そんな市況のもと、今回RMサザビーズ欧州本社は12万−14万ユーロという、なかなか強気ともとれるエスティメート(推定落札価格)を提示した。

 決して「ミント(新車同様)」とはいえない個体にそれだけの価格設定がおこなわれた理由は、生産から45年間、一度もフルレストアを受けていない「プリザーブド」であることにほかなるまい。

 そして、オンライン限定の競売では、締め切り前約3時間の段階で9万6000ユーロまで上昇したのち、締め切り時の最高額は12万ユーロであった。オークションハウス側に支払われるコミッションも合わせた、最終的な落札価格は13万2000ユーロ、つまり邦貨換算約1700万円となった。

 真正クラシックなフェラーリは、たとえかつての「ピッコロ(小型版)」であっても、然るべき来歴とコンディションの個体であれば、然るべき評価を受けることを、このフェラーリ308GTB「ヴェトロレズィーナ」がいまいちど証明したのである。

【画像】新車当時の姿をそのまま今に伝える「308GTB」とは(27枚)

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2件のコメント

  1. いつ見てもかっこいい。
    ずっと見てたらほしくなった。
    まさに70~80年代を代表する名車の1台。

  2. いつ見てもかっこいい。
    まさに70~80年代を代表する名車の1台。

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