性能は馬力だけじゃない! ローパワーでも走りがスゴい車5選
一般的に高性能車というと、ハイパワーなエンジンを搭載して動力性能が優れたクルマを想像します。しかし、決してハイパワーなエンジンを搭載していなくても、優れた走りを実現したクルマが存在。そこで、ローパワーでも高性能車に成りうることを教えてくれたクルマを、5車種ピックアップして紹介します。
ローパワーでも秀逸な走りのクルマを振り返る
日産「GT-R」やトヨタ「スープラ」、ホンダ「NSX」は誰もが認める高性能車で、ハイパワーなエンジンを搭載し、優れた加速性能を発揮。また、ハイテクな車体制御によって、高い運動性能を誇ります。
一方、決してハイパワーなエンジンを搭載していなくても、優れた足まわりや軽量な車体によって、高性能化を実現したクルマも存在。
そこで、ローパワーでも高性能車に成りうることを教えてくれたクルマを、5車種ピックアップして紹介します。
●ホンダ「バラードスポーツ CR-X」
ホンダを世界的な4輪自動車メーカーに引き上げた初代「シビック」は、新時代の大衆車として1973年に誕生しました。
その後、代を重ね1983年に3代目が登場。2代目から姉妹車の「バラード」が加わり、同じく1983年にはバラードの派生車として「バラードスポーツCR-X」がデビューします。
バラードスポーツCR-Xはセミリトラクタブルライトのフロントフェイスに、コンパクトで洗練されたファストバックスタイルのフォルムの3ドアハッチバッククーペです。
トップグレードの「1.5i」に搭載されたエンジンは110馬力(グロス)を発揮する1.5リッター直列4気筒で、パワフルではありませんが800kg(5速MT)と軽量な車体と、シビックよりも180mmも短いホイールベースが相まって、優れた加速性能とコーナリング性能を実現。
とくにクイックなハンドリングから、アメリカでは「ローラースケートGT」の愛称で呼ばれたほどです。
110馬力でも十分なパワーでしたが、1980年代はターボエンジンの台頭や、同クラスのライバルが多かったことから、バラードスポーツCR-Xも135馬力(グロス)のDOHCエンジンを搭載。
2代目、3代目(デルソル)とさらにパワーアップが図られると諸性能も向上していきましたが、大きく重くなっていくのは避けられず、初代のシャープなフィーリングは薄れてしまいました。
●ユーノス「ロードスター」
1989年に、当時マツダが展開していた5つのブランドのひとつ「ユーノス」から、2シーターFRオープンスポーツカーの初代「ロードスター」が登場。
1980年代は世界的にも2シーターオープンカーは減少傾向にあり、国内メーカーでは完全に撤退している状況のなかのデビューでした。
外観は丸みを帯びた非常にコンパクトなボディで、往年の英国製スポーツカーをオマージュしたようなフォルムを採用。和をイメージしてデザインされたというフロントフェイスにはリトラクタブルヘッドライトを搭載し、軽快感を演出しています。
シャシはロードスター専用に開発されましたが、エンジンは「ファミリア」に搭載された1.6リッター直列4気筒をベースに縦置きに変更。最高出力は120馬力と同クラスのライバルよりもアンダーパワーでしたが、200万円を大きく下まわる安価な価格設定に貢献しました。
サスペンションはスポーツカーでは王道の4輪ダブルウイッシュボーンを採用。ベースグレードで940kgと軽量かつ高剛性な車体により、高いドライビングプレジャーを実現しました。
安価で手軽に乗れるFRスポーツカーということで、2シーターオープンカーながら初代ロードスターは国内外でヒットを記録。
その後、代を重ねるとエンジンとボディは大型化しましたが、現行モデルの4代目では原点に立ち返り、エンジンのダウンサイジングと軽量化がおこなわれました。
●日産「プリメーラ」
現在、セダン人気の低迷から、各メーカーともラインナップが著しく減少してしまいましたが、1980年代から1990年代は、セダンはパーソナルカーとして高い人気をほこっていました。
当時の日産は小型の「サニー」からフルサイズの「シーマ」まで、セダンのフルラインナップ化をおこなっており、1990年には新たなコンセプトのミドルクラスセダン、初代「プリメーラ」を発売。
プリメーラは欧州市場を主なターゲットとしたグローバルカーで、欧州車に匹敵する走りの性能と、快適性、使い勝手の良さを高い次元でバランスした、新世代のFFセダンとして開発されました。
外観は奇をてらうことのない王道のフォルムながら、派手すぎず飽きがこない優れたデザインと評されます。
エンジンはトップグレードに最高出力150馬力を発揮する2リッター直列4気筒を搭載。これはスポーティなセダンとしては標準的なスペックです。
一方で、足まわりは前輪に新開発のマルチリンク、後輪にパラレルリンクストラットの4輪独立懸架を採用し、軽快なハンドリングと、優れた乗り心地を両立。とくにコーナリング性能は高く評価されました。
この初代プリメーラのコンセプトは日欧で歓迎され、ヒットを記録。その後、1995年に2代目、2001年には3代目が、初代のコンセプトを継承してデビューしますが、セダン人気の低迷から2005年に生産を終了し、プリメーラの歴史に幕を閉じました。
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