なぜロシアで「マークII3兄弟」がモテモテ? 意外な理由から海外で人気の日本車5選
4WD車の需要が高いロシアでマークIIは別格!?
●トヨタ「アクア」
昔からアジア圏では日本の中古車が人気で、とくに日本製のトラックや1BOXバン、ライトバンは耐久性や信頼性の高さから絶大な支持を受けています。
また、アジア圏では関税が非常に高額な国もあり、日本での価格に対して倍以上で販売されているケースも珍しくなく、それが安価な中古車の人気に拍車をかけているようです。
そんな国のひとつがスリランカで、これまで日本の中古車が大量に輸出されてきましたが、近年はだいぶ状況が変わってきました。
スリランカはクルマに対する関税と物品税など諸税が高く、排気量によって段階的に上がり、日本から輸出されると現地ではおよそ2倍から3倍の価格になってしまいます。
さらに、輸入されるクルマは原則的に車齢が2年以下でないとならず、2年を超えると別途、許可を得る必要があり、古くて安い中古車は自由に輸入できません。
しかし、ハイブリッド車は税金が優遇されており、現地で正規販売されていない安価なトヨタ「アクア」が注目され、日本で登録済み未使用車として売られている低走行の中古車が即納可能とあって、とくに人気です。
ほかにもホンダ「ヴェゼル ハイブリッド」や、1リッターエンジン車のトヨタ「ライズ」も人気で、一時はちょっとしたバブルになりました。
ただし、厄介なのがスリランカでは輸入品についての税制や規制がコロコロ変わるため、動向を常にチェックする必要があるといえます。
●トヨタ「マークII3兄弟」
日本ではあまり馴染みがないのですが、ロシアでは共産主義時代から自動車製造が盛んにおこなわれてきました。
しかし、何十年もモデルチェンジしていないことから性能的に良いとはいえず、1990年代から日本の中古車がとくに極東地域で人気となり、2000年代には一気に台数が膨れ上がりました。
一時は右ハンドルに起因した事故が多発したことから、日本の中古車の輸入を禁止すると宣言されましたが、国民から大反対され、現在も輸入が続いている状況です。
なかでも高い人気を誇っているのが、トヨタ「ランドクルーザー」や三菱「パジェロ」などのクロカン車で、極寒のロシアならではの車種といえます。
ところが、若い世代に絶大な人気となっているのがトヨタ「マークII3兄弟」で、理由としてはドリフト走行に適したモデルだからです。
日本で誕生したドリフト競技は世界に発信され、アメリカやアジア圏だけでなく、ロシアでも近年は非常に人気が高くなりました。
そのため、日本では買い手がいないような改造済みの中古マークIIが、ロシアでは高いニーズがあります。
例えば、YouTubeでマークIIによるドリフト映像があると、ロシアの若者によるコメントが数多く見られるほどです。
さすがに日本でもマークII3兄弟の個体数が減っているため、ロシアでも入手は困難なようですが、いまも人気車には変わりありません。
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アメリカでは今もスカイラインGT-Rや旧車人気が続いていますが、もともとアメリカは中古車の輸入に厳しい制限があり、排出ガス規制や安全基準を満たしている必要がありました。
しかし、新車登録から25年を経過したクルマはクラシックカーとして扱われ、年間走行距離など制限されますが、基準を満たしていなくても輸入が可能になりました。
このように、中古車の輸入が規制されている国は意外と多く、お隣の中国も原則的に輸入できません。
しかし、日本はクルマの輸入についてはかなり自由といえる国で、国内の保安基準に適合していれば大手を振って登録が可能です。しかも関税はかからず、左ハンドルでもまったく問題ありません。
日本は自動車の輸入に関しては、世界一寛容な国といえるのではないでしょうか。
何故日本は輸入車に対するハードルが低く、関税がないのか。何故欧米ではその逆なのか。