なぜロシアで「マークII3兄弟」がモテモテ? 意外な理由から海外で人気の日本車5選
10年ほど前から、1980年代、1990年代に発売されたネオクラシックと呼ばれるクルマの価格高騰が世界的に続いています。とくに日産「スカイラインGT-R」は日本の高性能車の代表的存在であることから、アメリカを中心に人気となり、旧車価格高騰のきっかけになったモデルです。一方で、別の理由から海外で人気となっているモデルも存在。そこで、意外な理由から海外で人気となった日本車を、5車種ピックアップして紹介します。
ちょっと変わった理由から、海外で人気となっている日本車を紹介
現在、日本の中古車市場では、1980年代から1990年代に発売された、「旧車」や「ネオクラッシック」と呼ばれるクルマの価格高騰が顕著です。
この原因のひとつは、日産「スカイラインGT-R」がアメリカで人気となったことで大量の中古車が日本から輸出され、国内の在庫が極端に少なくなったことにより価格が高騰。それに引きずられるかたちで、他の高性能車も価格が上がり、旧車全般に波及しました。
もともと、日本の中古車は比較的程度が良いという特徴があり、さまざまな国で人気が高い状態が続いていました。
そうした中古車のなかには、さまざまな理由から海外で人気となったモデルも存在。そこで、意外な理由で海外において人気となった日本車を、5車種ピックアップして紹介します。
●日産「フィガロ」
1980年代の終わりに一世を風靡した日産の「パイクカー」シリーズ第3弾として、1991年に「フィガロ」が2万台限定で発売されました。
シャシとエンジンは初代マーチがベースで、外観は欧州のクラシックなスポーツカーをイメージさせるデザインを採用。屋根とリアウインドウ周辺が手動で開閉でき、一見すると2シーターのように見えますが、狭いながらもリアシートを備える4シーターです。
内装もクラシカルで、レトロな書体のタコメーターやアナログ時計、ダッシュボードにはトグルスイッチ、古いラジオのようなデザインのCDオーディオを装備しています。
フィガロは日本専用車ですが、発売当時から海外でも注目されており、後にフェラーリ・コレクターとしても有名なエリック・クラプトンがフィガロをイギリスで乗っていたことが、大いに話題となりました。
右ハンドルであることや英国趣味の内外装から次第にイギリスで人気となり、またコンパクトカーがMT車ばかりだったイギリスで、AT車であるフィガロは斬新だったともいわれています。
かなりの台数のフィガロがイギリスに輸出され、いまではイギリスに専門店やオーナーズクラブまで存在するほどです。
●オートザム「AZ-1」
1992年にデビューしたマツダ「AZ-1」は、軽自動車で唯一無二の、ガルウイングドアを採用した2シータースポーツカーです。
エンジンはスズキ「アルトワークス」に搭載された、最高出力64馬力を発揮する660cc直列3気筒ターボを、リアミッドシップに搭載し、外装にFRPを多用することで720kgの軽量ボディを実現。
「公道を走るゴーカート」とも称されたクイックなハンドリングは乗り手を選ぶともいわれ、「面白いけど危険なクルマ」とも評されてしまいます。
しかし、軽自動車として生粋のスポーツカーというキャラクターが好まれ、1995年の販売終了後から中古車価格が極端に下がることはありませんでした。
そして、旧車人気の世界的な高まりのなか、この世界最小の量産ガルウイング車は当然のように海外のコレクターから注目されることになります。
とくに、コンパクトなスポーツカーが人気の欧州で話題となり、フィガロと同様にイギリスを中心に中古車が輸出され、現地では日本円で200万円以上の高値で取引されました。
現在の状況は、そもそも販売台数が少なく現存数も少ないAZ-1ですから、海外への流出は沈静化していますが、国内での価格高騰が続いており、コンディションによっては250万円から300万円の値がつけられています。
●ダイハツ「ハイゼット」
軽自動車は日本独自の規格で製造され進化を遂げてきましたが、一方で「ガラパゴス化」の象徴的な商品と揶揄されたこともあります。
しかし、欧州やアジア圏にほぼ日本仕様のまま輸出された実績もあり、いまも海外で販売されているケースもあるなど、軽自動車はグローバルでも通用するクルマです。
なかでも、4WDの軽トラックは数年前から北米で人気となり、とくに過走行で格安な中古車が数多く輸出されています。
アメリカでは安全基準の関係で、軽トラックでは登録できない州もあることから、ほとんどの軽トラックは農場などの私有地で使われています。もともとATVといった小型バギーが存在しますが、軽トラックはエアコンも付いているので、快適に使えるということです。
とくに、ダイハツ「ハイゼット」はキャビンが長い「ハイゼットジャンボ」を1983年からラインナップしていることもあって、身体の大きなアメリカ人でも窮屈すぎないドライビングポジションをとれるため、人気となっています。
いまでは北米に中古軽トラックの専門店がいくつもあり、オフロードタイヤを装着して最低地上高を上げたカスタマイズも定番で、「サムライ・トラック」の名で親しまれています。
何故日本は輸入車に対するハードルが低く、関税がないのか。何故欧米ではその逆なのか。