日本で売った車よりカッコイイかも!? 海外仕様のスポーツモデル5選

国内の自動車メーカーは1960年代の終わりに、本格的な海外進出に成功しました。そうして輸出または現地生産されるモデルのなかには、日本で売っているモデルと外観や仕様が異なるケースも存在。そこで、海外専用の仕様で販売された日本のスポーツモデルを、5車種ピックアップして紹介します。

日本では販売されなかった海外専用のスポーツモデルを振り返る

 日本の自動車は1950年代には輸出が始まりましたが、性能や品質の問題があり、当初は成功しませんでした。しかし、1960年代の終わりには日本車が海外でも認められ、本格的な海外進出を果たします。

日本でお馴染みのクルマでも仕様が異なる海外モデルたち
日本でお馴染みのクルマでも仕様が異なる海外モデルたち

 今では輸出よりも海外の工場で生産され、現地で販売したり、そこから別の国へ輸出されることが主流となりました。

 そうしたモデルのなかには海外のニーズや嗜好に合わせ、日本にはない海外専用モデルや、日本で売っている仕様とは異なるクルマも存在。そこで、海外専用の仕様で販売された日本のスポーツモデルを、5車種ピックアップして紹介します。

●日産「300ZX」

北米専用の特別仕様車として販売された「300ZX Turbo 50th Anniversary」
北米専用の特別仕様車として販売された「300ZX Turbo 50th Anniversary」

 1969年に誕生した日産初代「フェアレディZ」は、アメリカでの販売を主眼に開発されたモデルで、実際にアメリカ市場でスポーツカーとしては異例の大ヒットを記録しました。

 その後、代を重ねても主戦場は変わらずアメリカであり、日本を代表するスポーツカーという不動の地位を獲得。

 1983年に3代目となるZ31型フェアレディZが発売されると、外観は初代、2代目から一新され、エンジンは従来の直列6気筒に代わって、新世代のV型6気筒「VG型」が主力となります。

 北米市場では1984年にそれまでのダットサンブランドから日産ブランドとなり、「300ZX」の名で発売されました。

 北米仕様の外観は国内仕様と大きく変わっていませんが、細部は異なり、セミリトラクタブルの異型2灯式ヘッドライトは、補助灯を分離した規格サイズの角型2灯式に変更。

 さらに、リアフェンダーにオーバーフェンダーが装着されたグレードも設定されます。

 そして、1983年に日産は創立50周年を迎えたことから、それを記念する特別仕様車「300ZX Turbo 50th Anniversary」が1984年に北米専用モデルとして発売。

 ベースはリアオーバーフェンダー付きの2シーターモデル「300ZX Turbo」5速MT車で、外観はゴールドに近いシルバーとブラックの専用の2トーンカラーに、日本仕様よりもワイドなフロントフェンダー、ゴールドのアクセントが入った専用16インチホイールを標準装備し、運転席側フロントフェンダーには「50th Anniversary」のバッジが装着されています。

 内装には50周年記念ロゴが刺繍されたレザーシートとフロアマットが採用され、デジタルメーターや電子コンパス、ハイエンドオーディオなどを標準装備したラグジュアリー仕様です。

 300ZX Turbo 50th Anniversaryは人気となり、最終的に約5000台が販売されたといいます。

トヨタ「86 GTS」●

アグレッシブなエアロパーツが日本で話題となった「86 GTS エアロパッケージ」
アグレッシブなエアロパーツが日本で話題となった「86 GTS エアロパッケージ」

 スバルとの共同開発により2012年に誕生したトヨタ「86」は、いまでは希少なライトウェイトFRスポーツクーペとして国内外で人気を博しました。

 なかでもオーストラリアでは86によるワンメイクレースが開催されるなど、若い世代から高い支持を受けています。

 オーストラリアでは標準グレードの「86 GT」と、装備が充実した「86 GTS」が販売されましたが、このGTSにはオーストラリア独自のオプションで「エアロパッケージ」が存在。

 エアロパッケージは、フロントバンパースカート、サイドスカート、リアバンパースカート、大型リアスポイラーで構成され、日本仕様では設定されていません。

 また、各エアロパーツの意匠は、86が発売される以前に、プロトタイプがニュルブルクリンク4時間レースに出場した際のエアロパーツを再現。

 2012年にGTSグレード専用で発売され日本でも紹介されると、このエアロパッケージは大いに話題となり、「ニュル羽」や「ニュルウイング」と呼ばれ、オーストラリアから取り寄せたユーザーもいました。

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●アキュラ「インテグラ タイプR」

日本では存在しなかった丸目4灯ヘッドライトの「インテグラ タイプR」
日本では存在しなかった丸目4灯ヘッドライトの「インテグラ タイプR」

 1993年に発売されたホンダ3代目「インテグラ」は、3ドアハッチバックと4ドアセダンをラインナップする、スポーティカーとしてデビュー。

 日本仕様は発売当初、独立した丸型4灯式プロジェクターヘッドライトのフロントフェイスでしたが、このデザインは不評で、1995年のマイナーチェンジの際に横長の薄型ヘッドライト改められました。

 一方、北米ではアキュラ「インテグラ」として発売されましたが、ヘッドライトは丸型4灯式のままとされます。

 この1995年のマイナーチェンジと同時に、高性能モデルである「タイプR」が追加ラインナップ。

 エンジンは最高出力200馬力を発揮する1.8リッター直列4気筒を搭載。標準モデルに比べて40kgもの軽量化とボディの高剛性化を両立したボディに、専用サスペンションや空力パーツを装着するなど、サーキット走行を想定して開発されました。

 インテグラ タイプRは北米でもわずかな台数が販売されましたが、フロントフェイスは日本の前期型のままで、エアバッグが標準装備されるなど、仕様が日本と異なります。

 近年、インテグラ タイプRは希少なモデルとして北米で異常なほど価格が高騰し、オークションでは7万ドル(日本円で約730万円)以上の高値で落札された事例もあるほどです。

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