アーマーゲー時代の狂気ワイドボディ「AMG 560 SEC」の凄さとは?

バブル期、フェラーリに並んでヒエラルキーのトップに君臨した「アーマーゲー」こと「AMG」のワイドボディモデルとは、どのようなクルマだったのだろうか。

バブル期「アーマーゲー」と呼ばれていた「AMG」

 アメリカにおいて冬の避寒リゾート地として知られているアリゾナ州スコッツデールでは、毎年1月中旬から下旬にかけて複数の有力オークションハウスが結集し、世界のクラシックカー業界の一年を占う競売が大挙しておこなわれている。

 それは、新型コロナウイルス禍の真っただなかにある今年も変わることなく、「ボナムズ」や「バレット・ジャクソン」、「グッディング&カンパニー」などの大手各社が、インターネットを活用したオンライン型を中心に、大規模な競売を展開した。

●1989 メルセデス・ベンツ「560 SEC AMG 6.0 ワイドボディ」

もともと日本で販売されたメルセデス・ベンツ「560 SEC AMG 6.0 ワイドボディ」が、海を渡ってオークションに出品された(C)2020 RM Sothebys
もともと日本で販売されたメルセデス・ベンツ「560 SEC AMG 6.0 ワイドボディ」が、海を渡ってオークションに出品された(C)2020 RM Sothebys

 クラシックカー/コレクターズカーのオークションハウス最大手のRMサザビーズ社は、スコッチデール市内の自動車愛好家向け会員制クラブハウス&車両ストレージ施設「OTTO CARCLUB」を会場に、COVID-19感染対策のために入場制限をおこないつつ、メインはオンラインとする大規模オークション「ARIZONA」を、2021年1月18−22日(18−21日にプレビュー、22日に競売)に開催することになった。

 この「ARIZONA」オークションには自動車だけでも84台が出品されることになったが、そのなかで今回VAGUEが注目したのは、メルセデス・ベンツ「560SEC」をベースとしたAMG製コンプリートカーである。

 まだダイムラー・ベンツ社(当時)傘下に収まる以前の1980年代初頭、アファルターバッハのAMGは、メルセデス製V型8気筒SOHC16バルブ「M117」エンジンに組み合わせる、バンクあたりDOHC32バルブのサンドキャスト(砂型鋳造)シリンダーヘッドを自社開発した。

 加えて、スロットルボディおよび吸気マニホールドの換装により吸気効率をアップ。カムプロフィールも「ホットな」ものとした上に、エキゾースト系も格段にワイルドなものへと刷新したことで、排気量を6リッターまで拡大した最上級版「6.0」では、385psという大パワーをマークすることに成功した。

 このスペシャルな4カム32Vエンジンは、当時のW126系「Sクラス」を筆頭に、C124系クーペにも「ハンマー」のペットネームとともに搭載された。しかしもっともアイコニックだったのは、C126系クーペの「SEC」。しかもワイドボディにとどめを刺すのだ。

 AMGのC126クーペで「ワイドボディ」を成す美しい曲面構成のブリスターフェンダーは、FRP製ながら極めて優れたフィニッシュを見せる。ただし、この時代のSECベースのAMGがすべて装着していたわけではなく、あくまでオプションだったとのこと。

 このオプションの有無は、現代のクラシックカー・マーケットでも相場価格を大きく左右する要素となっているようだ。

 かのバブル期の日本では、なぜか「アーマーゲー」と呼ばれつつ、並みいるスーパーカーたちと同じくらいに憧れの対象となってきたAMG製メルセデスについては、これまでVAGUEでも幾たびかオークションレビューを届けてきたのだが、今回紹介する個体もまた、実は日本と深いゆかりのある1台なのである。

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