今よりもかなり個性的なモデルばかり? 1980年代の定番軽自動車5選

先進メカを搭載したモデルや超個性的なモデルとは!?

●スバル「レックス」

モダンなスタイルに変貌してライバルとの差を詰めることに成功した「レックス」
モダンなスタイルに変貌してライバルとの差を詰めることに成功した「レックス」

 スバルのルーツは第二次大戦以前から飛行機製造をおこなってきた中島飛行機で、戦後に中島飛行機が解体されると1945年に富士産業と改称し、平和産業への転換が図られました。

 そして、1958年にスバルブランドの起源となる軽自動車の「スバル360」を発売。一般庶民でもマイカーを持つことを夢から現実に変えた偉大なモデルとして、日本の機械遺産にも登録されている名車です。

 その後もスバルは軽乗用車の製造を続け、1972年には新世代のモデルとして「レックス」が登場し、1981年には2代目が発売されますが、ライバルに対して売りとなるポイントは希薄でした。

 そこでスバルは、1986年に3代目となるレックスと4ナンバーのレックスコンビを発売。2代目までの旧態然としたデザインを一新し、モダンな外観へと生まれ変わります。

 ボディタイプは5ドアハッチバックと3ドアバンで、居住性はさらに向上し、1987年にはフルタイム4WDや、現在では軽自動車で主流となっているCVTを初採用するなど、新技術が惜しみなく投入されました。

 さらにハイパワー化を進めるライバルに対抗して、1988年には550cc直列2気筒OHCエンジンにスーパーチャージャーとインタークーラーを備え、最高出力55馬力を発揮する「レックスコンビ スーパーチャージャーVX」を追加ラインナップ。

 1989年には軽ボンネットバン初の4気筒エンジンとスーパーチャージャーを組み合わせ、61馬力にパワーアップが図られました。

 トルクが細い軽自動車のエンジンと低回転域から加給が可能なスーパーチャージャーは相性がよく、以降はスバルの軽自動車といえばスーパーチャージャーが定番となり、1992年に発売された後継車の「ヴィヴィオ」へと受け継がれていきます。

●ホンダ「トゥデイ」

それまでの常識にとらわれないコンセプトを実現した初代「トゥデイ」
それまでの常識にとらわれないコンセプトを実現した初代「トゥデイ」

 オートバイメーカーとして高い実績があったホンダは、1963年に同社初の4輪自動車である軽トラックの「T360」を発売し、いまに続く4輪自動車製造の歴史がスタートしました。

 T360は商業的には失敗に終わりましたが、1967年に軽乗用車の「N360」を発売。Nシリーズは大ヒットを記録し、ホンダを4輪自動車メーカーとして広く知らしめました。

 ところが、初代「シビック」をはじめとする登録車の開発・生産に注力するために、1974年に乗用タイプの軽自動車生産から撤退。

 そして1985年に、軽ボンネットバンの初代「トゥデイ」を発売し、11年ぶりとなる乗用タイプの軽自動車生産を復活させました。

 トゥデイは、ホンダが提案する新世代の軽自動車として開発され、極端に短いフロントノーズと、ボンネットのラインから後端までつながるロングルーフ、そして低く伸びやかなフォルムが特徴です。

 1981年に発売された初代「シティ」が、全高を高くすることで広い室内空間を確保していたのと真逆のデザインコンセプトで、ショートノーズと新開発のサスペンションによってタイヤをボディの四隅に配置することで、室内の前後長を長くし、広い居住空間を確保するという手法を取り入れ、それまでの軽ボンネットバンの常識を覆す発想でした。

 初代トゥデイは、ほかにはない新たなデザインを提案したことが高く評価され、ヒットを記録。パワー競争には参戦しないという、他メーカーとは異なる戦略もユニークでした。

※ ※ ※

 軽自動車の進化は、ここ10年ほどで目覚ましいものがあります。とくに安全装備や快適装備の充実は顕著で、ボディサイズや排気量を考えなければ、コンパクトカーと何ら変わらない内容です。

 一方で、価格の高騰や車両重量の増加は避けられず、これ以上の装備の充実は、軽自動車の存在意義が問われる事態になりそうです。

 いまさら初代アルトの時代には戻ることはありえませんが、今後、軽自動車のフルハイブリッド化も検討されているといいますから、改めて軽自動車の意味を考え直す時期なのかもしれません。

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