日本でポルシェの台数が過去最高を記録! コロナ禍でも「勝ち組」の理由とは

ポルシェ以外にも前年を超えたブランドが存在する

 そんなポルシェの好調さの理由は、どこにあるのか? それは、ポルシェならではの販売方法にある。

 ポルシェは販売店に並んでいる現物のクルマを売るのではなく、予約したものを買うというスタイルをとっているのだ。しかも、注文してからクルマが届くまでに半年から1年以上の時間がかかる。

 つまり、2020年に新車として登録されたポルシェの多くは、コロナ禍前の2019年に注文されていたのだ。当然、2020年の販売成績へのコロナ禍の影響は最小限になる。ちなみに2020年前半での人気モデルは「マカン(ベースモデル)」、「カイエン(ベースモデル)」、「911カレラ」、「マカンGTS」、「911カレラS」というものであったとか。

 しかし、2019年の注文だけであれば、2020年後半から2021年にかけての販売は失速しそうなもの。だが、2020年のポルシェは、いくつかの新型車を投入した。それが2月の「718ケイマンGTS4.0/718ボクスターGTS4.0」、6月のポルシェ初のEV「タイカン」、7月の「911ターボ」、8月の新型「パナメーラ」だ。どれも大きな話題を集めるモデルだ。

 とくに注目したいのは、ポルシェ初の市販EVである「タイカン」だ。

ポルシェ「タイカン」。日本でも納車が開始されている
ポルシェ「タイカン」。日本でも納車が開始されている

 これがどれだけ売れるのか? ポルシェ・ジャパンの広報に問い合わせてみれば「タイカンの販売は順調に推移しており、45%が初めてポルシェを購入される方で、95%が現在ガソリン車のオーナーという統計が出ています」という。

 驚くべきは45%もの新規の顧客を獲得できていること。コロナ禍という逆風の中、EVという新たな路線を切り開こうというポルシェの挑戦が受け入れられているといえる。EV強化の姿勢は欧州ブランド共通のものだが、ポルシェのようなスポーツカー・ブランドでも、一定の支持が得られるというのは、なかなかに興味深い傾向だ。

 結局のところ、事前の予約販売という神通力が尽きる2020年後半になっても、ポルシェの堅調さは変化がなかった。つまりは、それだけポルシェのブランド力や商品力が高かったということだろう。

* * *

 また、もう一度、輸入車の販売成績を見れば、ポルシェ以外にも前年比プラスを実現したブランドは多く存在する。

7位 ジープ 13562台 前年比101.6%
8位 プジョー 10752台 前年比101.2%
12位 シトロエン 5028台 前年比122.2%
17位 フェラーリ 1085台 前年比124.7%
18位 DS 908台 前年比100.4%

 これらのブランドに共通するのは、個性の強さだろう。ちなみにプジョーとシトロエンの好調さの理由は、新型「208」や「リフター」「ベルランゴ」といった話題の新型車の投入だ。2020年秋以降の販売が驚くほど伸びている。

 またジープは、2020年5月から導入した独自のローン商品「スキップローン」や、2020年秋にスタートさせた3年間メンテナンス無料の「ジープ・ウェイブ」というキャンペーンも成績伸長の理由ではないだろうか。

 コロナ禍という厄災があっても、堅調なところが存在する。やはり、重要なのはブランド力や商品力という基本だ。良いクルマを作るというが、クルマのビジネスということだ。

ポルシェ・718ボクスター のカタログ情報を見る

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Writer: 鈴木ケンイチ

1966年生まれ。國學院大学経済学部卒業後、雑誌編集者を経て独立。自動車専門誌を中心に一般誌やインターネット媒体などで執筆活動を行う。特にインタビューを得意とし、ユーザーやショップ・スタッフ、開発者などへの取材を数多く経験。モータースポーツは自身が楽しむ“遊び”として、ナンバー付きや耐久など草レースを中心に積極的に参加。見えにくい、エンジニアリングやコンセプト、魅力などを、分かりやすく説明するように、日々努力している。最近は新技術や環境関係に注目。年間3~4回の海外モーターショー取材を実施。

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