なぜ今も人気? レクサス「NX」は7年目突入! 磨き続ける魅力とは
モデル末期といいつつも、まだまだ商品力は健在か?
メカニズムの部分はどうでしょうか。
今回の試乗車はハイブリッド(2.5リッターエンジン+モーター)のE-Four(電気式AWDシステム)です。
普通に走る分には不満はないものの、初期モデルよりは改善されていますが車速と回転数が一致しないラバーバンドフィールが残っていることやスペックほどの余裕を感じない実用領域のパフォーマンスなど、NXのキャラクターを考えると物足りなさがあるのも事実です。
そういう意味では、2リッターターボのほうが活発に走ってくれるはずです。
フットワークは見た目以上のキビキビとした身のこなしの軽さやハンドリングの安定感も高いレベルにいますが、ステアリングの切り始めが曖昧で直結感が乏しいステアフィールとのバランスは今ひとつで、走りの一体感や連続性ある動きはイマイチです。
また、走りにこだわり過ぎたのかプラットフォームの限界なのか、足さばきに滑らかさがなく硬めの印象です。
試乗車はAVS(電子制御ダンパー)が装着されていましたが、ドライブモード「ノーマル」よりもスポーティな「スポーツ+」のほうが、むしろ姿勢変化を抑えることでスッキリした乗り味に感じました。
ただ、擁護するわけではありませんが、旧世代のパワートレイン/プラットフォームであることを考えれば、「よくぞ、ここまで頑張った」ともいえる部分もあります。
ちなみに全車標準装備の安全支援パッケージ「Lexus Safety System+」は、2019年の改良ではプリクラッシュ性能はカメラ/ミリ波レーダーの性能向上やレーン・トレーシング・アシスト(LTA)、ロードサインアシスト(RCA)、先行車発進告知機能(TMN)の追加、2020年の改良ではパーキングブレーキサポート(静止物)の全車標準化など、ロングライフモデルながらシッカリとアップデートしている点は評価すべきポイントでしょう。
NXは、モデル末期ということで走りの部分に若干課題はありものの、「SUVユーティリティ」と「スポーツカー的なハンドリング」というNXの商品性は今も十分通用します。
価格は454万6000円から612万7000円と決して安くはありませんが、RXと並ぶリセールバリューの高さを忘れてはいません。
次期モデルはデザインだけでなく、パワートレイン/プラットフォームなど全てが次世代(=TNGA)に刷新されますが、それまで熟成の現行モデルに乗るというのも悪くはない選択でしょう。
Writer: 山本シンヤ
自動車メーカー商品企画、チューニングメーカー開発を経て、自動車メディアの世界に転職。2013年に独立し、「造り手」と「使い手」の両方の想いを伝えるために「自動車研究家」を名乗って活動中。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。
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