ミニバンなのにMT仕様が存在!? 激レア過ぎるミニバン3選

世界一醜い!? 海外からやってきた「愛されミニバン」

●フィアット「ムルティプラ」

ぴえん;; 世界一醜いクルマと呼ばれた フィアット「ムルティプラ」
ぴえん;; 世界一醜いクルマと呼ばれた フィアット「ムルティプラ」

 奇妙奇天烈な形状を持つこのクルマは、フィアットの「ムルティプラ」です。

 日本でも2003年に発売されたムルティプラは、「世界一醜いクルマ」と英国のジャーナリストに認定されてしまったことでもその名を轟かせました。

 まず真っ先に目に入る、フロントガラス直下に設置されたライトはハイビーム用のもので、「なぜここに配置したのか」と誰もが度肝を抜かれたものです。

 しかし、ムルティプラの特殊性はそのスタイリングにとどまりません。

当然のように内装デザインでも独特の世界観を披露してくれますが、このクルマの最大の特徴は「2列シートのミニバン」という点に尽きます。

 ムルティプラはシートレイアウトが何よりもユニークで、「フロントシートに3人、リアシートに3人」が乗車でき、最大乗車人数は6人にも上ります。

 このシートレイアウトはなかなかの妙案でした。フロントのセンターシートを一段後方にスライドさせることで、左右の乗員と肩をずらし、6人全員が快適に乗車することが可能でした。

 また「3列シートミニバン」にありがちな、運転者と後方乗員の会話が困難という状況もムルティプラなら無縁です。

 ただしこのシートレイアウトを実現した結果、完成したボディサイズは全長3995mm×全幅1870mm×全高1670mm。長さはとても短いのに横幅は果てしなく広いという、まるでゆるキャラのような3サイズとなりました。

 そんなムルティプラの変速機ですが、なんと驚くことにMTしかありません。

 つまりATユーザーお断り、かつ幅の狭い道での慣れが必須と、オーナーになるハードルがあまりにも高かったムルティプラは、デザインを大きく変更するマイナーチェンジをおこなうものの成功といえないまま、2007年に日本での販売を終えました。

 しかしこのようなクルマだからこそ、ハマったオーナーには深い満足感を与えてくれます。

 また、搭載する1.6リッターのエンジンはパワフルとはいえませんが、ショートでワイドなボディと相まって、コーナリングを楽しく駆け抜けてくれる力は十分に備えています。

 意外というと失礼ですが、エンジンを回して走ると実に楽しかったムルティプラは、MTのミニバンを求めるユーザーにとって案外と面白い選択肢だったのです。

 当時酷評されたスタイリングも、今では個性的で可愛らしいと思える、かもしれません。

※ ※ ※

 シフトレバーを駆使して運転する楽しさと、大勢で外出する楽しさ、その両方を一台で味わえる、希少なMTを搭載するミニバン。

 現在もハイエースやキャラバンなど商用を兼ねるモデルには新車として残存していますが、MTユーザーの一人として、今後も残って、そして増えて欲しいと願ってやみません。

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Writer: くるまのニュース編集部

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