古くて新しいジャガーは2億円!! レプリカではない本家の価値とは?
メーカーの手による「コンティニュエーション(Continuation:継続生産)は、英国ブランドが有名だが、その嚆矢でもあるジャガーの「コンティニエーション」モデルは、コレクターズアイテムとして価値があるのか、最新のオークション動向から検証する。
「コンティニエーション」って、何?
クラシックカー/コレクターズカーのオークション業界最大手のRMサザビーズ社は、北米インディアナ州エルクハートにて2020年5月に開催するはずだった大規模オークション「THE ELKHART COLLECTION」を、予定から約半年の延期に相当する10月23-24日に、COVID-19感染対策を厳重におこなった上での対面型と、昨今の新スタイル「リモート入札」の併催でおこなうことになった。
2輪/4輪合わせて280台を超える自動車が集められたこのオークションは、実は詐欺の疑いで訴追され、破産宣告を受けたというさる実業家の資産売却のためにおこなわれたものだそうなのだが、主に第二次大戦後に生産されたアメリカやヨーロッパ、あるいは日本車も含む名車・希少車たちが勢ぞろいしていた。
今回VAGUEが注目したのは、3台の古くて新しいジャガーだ。メーカー直営「ジャガー・ランドローバー・クラシック」の手によって「コンティニュエーション(Continuation:継続生産)」の名のもと、新たに再生産された伝説のレーシングモデル(およびその派出型)たちである。
●1963 ジャガー「Eタイプ・ライトウェイト・コンティニュエーション」
現在ではアストンマーティンなどの複数のブランドにて、クラシック部門のフラッグシップ事業としておこなわれている「コンティニュエーション」を世界で初めて名乗ったのは、まだジャガー・ランドローバー・グループ直轄のクラシック部門が本格始動する以前の2014年に発表された、この「Eタイプ・ライトウェイト・コンティニュエーション」だったと記憶している。
オリジナルのジャガー「Eタイプ・ライトウェイト」は、1961年のデビュー早々から大成功を収めていた伝説のスーパースポーツ「Eタイプ」のレーシングモデルとして1963年に誕生した。
当時のスポーツカー耐久レースGTカテゴリーを完全制覇していたフェラーリ「250GT」に対抗すべく、スチール製だったEタイプのモノコック/ボディパネルをアルミ合金に置き換え、1950年代の純レーシングスポーツカー「Dタイプ」譲りのチューンを施したXK型直列6気筒DOHCエンジンを搭載。
打倒フェラーリはかなわなかったものの、レースでは一定の成果を得ることができた。
そしてEタイプ・ライトウェイト・コンティニュエーションは、1963年当時のスペックで製作されたものである。「HTP(FIA Historic Technical Passport:ヒストリック・テクニカルパスポート)」を取得し、一部のクラシックカーレースにも出場可能とされている。
今回の「THE ELKHART COLLECTION」オークションに出品されたのは、7台作られたうちの第1号車である「カー・ゼロ」である。
ジャガー・ノースアメリカ社のデモカーとして使用されたのち、現オーナーのもとに所蔵されたが、出品に至るまでの走行距離はわずか717マイル(約1150km)とのこと。当然ながら、新車同様の美しいコンディションを誇っている。
そのコンディションを反映するように、RMサザビーズ社は175万ドル−222万5000ドルという、今回の3台の「コンティニュエーション」のなかでももっとも高価なエスティメート(推定落札価格)を設定したのだが、実際の競売ではリザーヴ(最低落札価格)が設定されていなかったことから、手数料込みで171万ドルであった。
つまり、日本円換算で約1億7800万円という、債権者たちにとっては少々不本意に違いない価格での落札となった。
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