なぜトヨタ「プリウス」は変速機がない? ハイブリッドの仕組みがいろいろ存在する訳
1997年のトヨタ「プリウス」の発売を皮切りに、ハイブリッド車が広く普及しました。ハイブリッド車ですが、じつはさまざまな種類があるのです。ハイブリッド車の特徴とはどのようなものなのでしょうか。
ハイブリッドシステムは3つに大別されている
トヨタが1997年に世界初の量産型ハイブリッド車「プリウス」を発売してから23年。ハイブリッド車は、セダンやミニバン、SUVなど、さまざまな車種に採用されています。
自動車検査登録情報協会によると、2019年にはハイブリッドの乗用車の登録数は845万3451台にも及び、いまでは当たり前の存在になりました。
広く普及したハイブリッド車ですが、じつはさまざまな種類が存在しています。どのようなものがあるのでしょうか。
ハイブリッド(hybrid)とは、もともとは「雑種、あいのこ、混成物、混種語」を意味する英語です。
自動車においては複数の動力源を持つクルマをハイブリッド車と呼び、代表的なのはガソリンエンジンと電気モーターを組み合わせたものです。
ディーゼルエンジンと電気モーターの組み合わせでももちろんハイブリッド車にあたり、日本では2019年から導入されているメルセデスベンツ「E350de」が唯一のディーゼルハイブリッド乗用車になります。
広義においてはディーゼルエンジンとガソリンエンジンの両方を積むクルマもハイブリッド車といえなくもありませんが、ほとんどの場合はハイブリッド車といえば、エンジン(内燃機関)と電気モーターの「電気式ハイブリッド車」のことを指します。
電気式ハイブリッド車は、エンジンと電気モーター、駆動の関係により3つの種類に分けることができます。
ひとつめは、エンジンは発電専用で電気モーターのみでタイヤを駆動する「シリーズ方式」です。
電気モーターは細かい出力制御が可能なため、トランスミッションを必要としません。日産の「e-POWER」がこのシステムを採用しています。
ふたつめは「パラレル方式」で、エンジンと電気モーターの双方がタイヤを駆動する動力源となるシステムです。
エンジンと電気モーターの配置を同軸にするか別軸にするかで出来ることに多少の違いはあり、また電気モーターだけで走ることもありますが、基本はエンジン駆動で電気モーターはアシスト的な役割と考えていいでしょう。
エンジンだけで走ることもあるため、一般的なエンジン車と同様のトランスミッションが必要。代表的な採用例がホンダの「IMAシステム」になります。
みっつめが「スプリット方式」で、その名の通りエンジンの出力を駆動と発電に分割(スプリット)するシステムです。
ふたつの使い道に分けることで、パラレル方式のように「エンジン+電気モーター」で走ることもでき、シリーズ方式のようにエンジンで発電しながら電気モーターで走ることも可能なことから、「シリーズ・パラレル方式」と呼ばれることもあります。
スプリット方式では出力を分ける動力分割機構には変速作用もあるため、トランスミッションは不要です。
スプリット方式の代表例である「THS(トヨタ・ハイブリッド・システム)」を採用するプリウスは「電気式無段変速機」とカタログに記載されていますが、実際にトランスミッションが搭載されているわけではありません。
常識っす。
あー「あいのこ」の単語は、差別を助長する言い方として要注意のはず。説明のためとはいえ、気軽に発するのは(記述)はいかがなものかと思慮されます。