6000万円弱のフェラーリ「SF90スパイダー」を徹底解説!

特許取得済みの最新エアロデバイスとは?

 SF90スパイダーのデザインは、クローズ時のシルエットでは、クーペのストラダーレのボディラインを、実に美しく、そして見事に再現している。

16インチのHDスクリーンで、新設計のヒューマン・マシン・インターフェイス(HMI)を実現したインテリア
16インチのHDスクリーンで、新設計のヒューマン・マシン・インターフェイス(HMI)を実現したインテリア

 チーフ・デザイン・オフィサーのフラビオ・マンゾーニは、基本となったSF90ストラダーレのデザインに、そのままRHTを採り込むことができたこと。そしてヘッドレストの後方に、これまでのオープン・リアミッドと同様のスタイルを実現し、これとコックピット内に設けられたふたつ空力エレメントが、キャビン内の気流から乗員を守り、コンフォート性の高いドライビングを提供するための役割を担うことを強調していた。

●巨大なウイングなしでも強力なダウンフォースを獲得

 SF90スパイダーが発生するダウンフォースをおもに決定するのは、車両のテール部に装備される特許取得済みのデバイス、「シャットオフ・ガーニー」だ。これはふたつのパーツから構成される釣り下げ式のエアロデバイスで、ひとつは固定式、もうひとつは前方がくさび型の稼働パーツとなっている。

 車速や加速度、ステアリングホイールの角度、ブレーキペダルの圧力等々のパラメーターを基に、ロー・ドラッグとハイ・ダウンフォースというふたつのポジションによってダウンフォースを調節するというシステムの実際の効果は、試乗のチャンスを待ちたいところだ。

 未来的で革新的なデザインを実現することによって、レーシングカーの役割と、プロダクション生産されるスーパーカーのコンセプトの両方を表現しているかのようなエクステリアデザインは、SF90スパイダーでも踏襲されている。

 コックピットはやや前方に移動し、車高は20mmダウン。Aピラーもさらにスレンダーになったとの説明だが、一瞬でその違いを見つけるのは簡単なことではなさそうだ。

 16インチのHDスクリーンで、新設計のヒューマン・マシン・インターフェイス(HMI)を実現したインテリアも、時代の変化とフェラーリの進化を直接的に感じさせる部分だ。

 さらに最新のヘッドアップ・ディスプレイの導入で、ドライバーが必要とする情報は、そのほとんどがここから得ることが可能になり、フェラーリが常々語っていた「視線は路上に、手はステアリングホイールに」という理念が実現することになる。

 注目の運動性能は、トータルの最高出力が1000ps、0−100km/h加速2.5秒、0−200km/h加速7.0秒、最高速340km/h。そしてフィオラノのラップタイムは79.5秒と発表されている。

 プレス・コンファレンスで発表された発売時期と価格は、2022年の第2クォーターから、まずヨーロッパ市場で販売をスタートし、そのプライスはクーペのストラダーレより約10%高い47万3000ユーロ(消費税込)。邦貨換算でおよそ5850万円となる。

 そのオーダーリストには、またもや長く、そして遠い列ができることは、確実なところだろう。

【画像】「SF90スパイダー」の美しいスタイリングを確認する!(10枚)

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