クラッチ操作不要のDCT搭載バイクに驚く!? ~木下隆之の、またがっちゃいましたVol.62~
レーシングドライバーとして活動する木下隆之さんにとって、自動車では当たり前のDCTがバイクにも搭載されていることに驚きを隠せない様子。どういうことなのでしょうか?
正直、ナナハン初心者には嬉しいと思わざるを得ない
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「DCT」(Dual Clutch Transmission:デュアル・クラッチ・トランスミッション)という機構は、僕(筆者:木下隆之)が活動の中心としている自動車の世界ではそれほど珍しくはない。変速を自動でこなしてくれるMT(マニュアル・トランスミッション)である。
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操作の方法はAT(オートマチック・トランスミッション)と限りなく似ているのだが、機構的にはMTである。そう、クラッチ操作やシフトチェンジといった作業を機械が電子的に代行してくれるシステムなのだ。
そんなDCTを搭載するバイク、ホンダ「NC750S DCT」に試乗する機会を得た。当然のように、クラッチレバーはないし、チェンジペダルもない。大きく足を広げて跨り、通常なら左手でクラッチレバーを握りしめ、左足でガチャコンとギアをかますところ、その儀式がなく、違和感満点だった。
ナリはナナハンなのに、まるでスクーターのような操作になる。左手と左の足首はやることがない。
しかも、ガソリンタンクだと思っていた膝の間にある懐の盛り上がりは、なんと収納スペースに置き換えられ、ヘルメットさえ押し込むことができる!
では、ガソリンタンクは何処に行ったのか? と探してみれば、シート下にある。低重心化にも貢献しているようで、これはなかなかのアイデアだと思った。
そうしてみると「NC750S DCT」は、とても理にかなったバイクのような気がしてくる。DCTはエンストの心配がないから、立ちゴケの危険性も低い。停車のたびにニュートラルを探す必要もないし、左の靴の甲が傷むこともない。DCTの繋がりは確実だから、くるりと旋回するのも簡単だった。なるほど、軽快な走りが味わえるわけだ。
自動車の世界では、高性能モデルはほとんどDCTに置き換えられている。性能自慢のスポーツカーは例外なくDCTである。僕がレースで乗っている「BMW M4 GT4」も、もちろん2ペダルのDCTである。速さを追求すると、もはや人間の操作では叶わないからだ。
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それでもシフトレバーをコキコキするMTが消えていないのは、効率よりもシフトレバーをコキコキすることの古き良き味わいを求めるユーザーがいるからである。
ということはつまり、バイクのDCTがポビュラーな存在ではないのは、ライダーはまだバイクのあの味わいを求めているからに違いないからなのだろうと想像したのだ。
しかしナナハン初心者には、最高のバイクのような気がした。
提供:バイクのニュース
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Writer: 木下隆之
1960年5月5日生まれ。明治学院大学卒業後、出版社編集部勤務し独立。プロレーシングドライバーとして全日本選手権レースで優勝するなど国内外のトップカテゴリーで活躍。スーパー耐久レースでは5度のチャンピオン獲得。最多勝記録更新中。ニュルブルクリンク24時間レースでも優勝。自動車評論家としても活動。日本カーオブザイヤー選考委員。日本ボートオブザイヤー選考委員。
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