コロナ禍もリアル開催「北京モーターショー2020」 中国は自動車産業でも独走となるのか

電動化とコネクテッドで世界をけん引するか?

 今回の北京ショーのテーマは「未来に向けたスマート・ヴィークル」です。このスマート・ヴィークルには大きくふたつの意味があります。

日産は北京モーターショー2020に新型電気自動車「アリア」を出展した
日産は北京モーターショー2020に新型電気自動車「アリア」を出展した

 ひとつは、環境に対してスマートなEV(電気自動車)。

 北京ショー開催の3日前にも、アメリカのカリフォルニア州では「2035年までにガソリン車販売を禁止する」と発表していますが、中国では2019年から中国全土向けにEV、プラグインハイブリッド車、燃料電池車について、自動車メーカー各社に事実上の販売台数義務化を課すNEV規制を施行しました。

 またNEVと並行して、企業別平均燃費(CAFE)も導入していて、自動車メーカーは中国を環境車開発の最重要国に位置付けています。

 ただ、NEVの販売台数が当初の計画に比べて伸び悩むなか、日系メーカーにとって朗報があります。NEVに低燃費車を含めることで規定が変更され、これにより事実上、ハイブリッド車がNEVに加わったのです。

 トヨタ幹部は数年前から「ハイブリッド車の重要性を中国政府側に対して粘り強く説明していく」と語っていましたので、コロナ禍や米中貿易摩擦など様々な社会情勢変化があるなか、トヨタにとって中国向け開発に光明が見えたといえます。

 ただし、よくよく考えてみると、世界最大の自動車市場である中国が電動車政策を通じて、トヨタをはじめとする世界の自動車メーカーをコントロールしているように感じます。

 この影響は当然、中国が2025年までに世界一の普及を目指している燃料電池車にも及ぶでしょう。

 もう1点は、自動運転やコネクテッドを使った、いわゆるスマートシティ構想です。

 中国IT大手の百度(バイドゥ)は自動運転の「アポロ計画」で、遠隔操作による自動運転タクシーなど実用化に向けた開発を加速させています。

 バイドゥのほか、アリババやテンセントなど中国IT大手は中国政府と連携しながら、安定的な経済成長を出口戦略とした、総括的な次世代街づくりの中で、自動運転の効率的な活用を目指しています。

 日本でも、自動運転やスーパー/スマートシティ構想では産官学連携を進めていますが、中国は政府の影響力が強く、結果的に街の次世代化への移行が早く進む可能性があります。

 2020年、世界で唯一のオンサイト型の国際モーターショーとなった北京ショーでは、さまざまな点で中国の底力を強く感じます。

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Writer: 桃田健史

ジャーナリスト。量産車の研究開発、自動車競技など、自動車産業界にこれまで約40年間かかわる。
IT、環境分野を含めて、世界各地で定常的に取材を続ける。
経済メディア、自動車系メディアでの各種連載、テレビやネットでの社会情勢についての解説、自動車レース番組の解説など。
近著に「クルマをディーラーで買わなくなる日」(洋泉社)。

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