北米は標準も国内はなぜ少数!? 子供の車内放置を防ぐ「後席リマインダー」が必要な訳
トヨタやスバルなど、国内モデルへ徐々に搭載
日本では、2020年9月上旬、高知県高松市内で女児2人が車内に長時間置去りとなり、熱中症が原因で死亡するという痛ましいことが起こりました。警察は女児2人の母親を放置死の疑いで逮捕し取り調べを進めています。
こうした故意の長時間の置き去りだけではなく、急いでいてつい忘れてしまったというケースは日本でも十分にあり得ると思います。
日本でも今夏は、一部地域で最高気温40度を超える猛暑となり、リアシートリマインダーの必要性について、自動車メーカー間で議論が高まる可能性があるでしょう。
トヨタは、2018年にマイナーチェンジしたコンパクトミニバン「シエンタ」に、国内初のリアシートリマインダーを採用。
後席ドアの開閉でシステムが作動し、走行後、車両を停車しイグニッションをオフにすると、マルチインフォメーションディスプレイに荷物置き忘れ防止の通知メッセージが表示されます。
またスバルは、2019年7月に一部改良した「フォレスター」にリアシートリマインダーを採用しています。
スバルによると、アメリカでは「レガシィ」から採用を始めており、「日本国内向けにも状況を応じて採用を検討していく」とのこと。
ちなみに、2020年10月15日に国内で発表される新型「レヴォーグ」には、リアシートリマインダーが標準装備されています。
日産は、アメリカで2018年、SUVの「パスファインダー」で「リアシート・アラート」という名称でリアシートリマインダーの採用を開始。
さらに、北米日産は、2022年までに4ドア車という位置付けで、ピックアップトラック、セダン、SUVの12モデルにリアシート・アラートを標準装備することを2020年7月11日に明らかにしました。
日本国内については、2020年6月の「キックス」導入の際、日産関係者は日本でも今後、リアシート・アラートの導入について検討の余地があると発言しています。
ホンダも2020年10月に発売される電気自動車「ホンダe」へ搭載するなど、まだ少数ではあるものの、採用される車種が増えています。
今後、日本でもアメリカでのメーカー間での自主的採用の流れを汲み、日本自動車工業会や日本自動車技術会など業界団体を通じて、リアシートリマインダー標準装備化の動きが加速する可能性があるのではないでしょうか。
Writer: 桃田健史
ジャーナリスト。量産車の研究開発、自動車競技など、自動車産業界にこれまで約40年間かかわる。
IT、環境分野を含めて、世界各地で定常的に取材を続ける。
経済メディア、自動車系メディアでの各種連載、テレビやネットでの社会情勢についての解説、自動車レース番組の解説など。
近著に「クルマをディーラーで買わなくなる日」(洋泉社)。
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