なぜ小型SUVは急増? 世界を巻き込むSUV人気 新興国需要が要因か
技術の発達によって車高の高さのネガが解消された!?
物理的な観点からは、クルマは車高が低ければ低いほど、重心が低ければ低いほど、走行性能が優れていることになります。
レースカーやスポーツカーを見れば一目瞭然です。直線を走るとき、正面面積が小さいほうが空気抵抗が少なくなりますし安定性も高くなります。
コーナリングでも車高が低いほうがロール(横方向の傾き)が小さく、安定して俊敏に曲がることができます。
そのため、スポーツカーならずとも従来はセダンやクーペ、ハッチバックといったボディ形状のクルマが一般的でした。
SUVは最低地上高が高いため、走行性能の面での不利は否めません。それでも大型のSUVは、車体それ自体の重さによってどうにか安定性を確保できていました。
しかし小型で軽量なコンパクトSUVの場合、ひと昔前の技術であれば、路面の凹凸でもグラグラ揺れて、横風に煽られて、コーナーで転倒するリスクも高い、非常に危なっかしい乗り物になっていたことでしょう。そんな代物は、もちろん市販できるわけがありません。
それを可能としたのが、最新の自動車開発技術です。まず、メーカーごとに汎用プラットフォームを開発することで、モデルごとにシャシを作る必要が無くなりました。
これはトータルでコストダウンにもつながりますが、その分の開発リソースを各モデルのほかの部分に向けることができるようになったというメリットもあります。SUVのネガになりがちな足回り、乗り心地といった部分をしっかり煮詰めることができるわけです。
そしてコンピューターによる解析シミュレーションが進歩したことで、シャシやボディの剛性がアップし、空力性能も大幅に向上。
また、クルマで一番の重量物であるエンジンもより小型・軽量になり、重心も低くなっています。燃費の面でもデメリットは薄れています。
さらに走行の制御技術も進化しました。たとえばマツダは、ドライバーのハンドル操作に応じてエンジンの駆動トルクを変動させ、スムーズなコーナリングをアシストする「G-ベクタリングコントロール(GVC)」を2016年に発表し、CX-3など各モデルに採用。
2018年には、これにブレーキ側の制御を組み合わせた「GVC Plus」を発表して、順次各モデルに導入を進めています。同様のベクタリングコントロール技術は各メーカーで開発して導入を進めているところです。
また、昨今話題となっているヤリスクロスには、トヨタ初の機能として「S-VSC(横風対応制御付)」を採用。これは、高速走行時の強い横風を検知してS-VSCが作動し、車線からの逸脱を抑制するものです。
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