なぜ? 大型リアスポイラーの付いたクルマを最近見かけなくなったワケは
大型リアスポイラーが装着できるクルマは減っている?
一方、装着できるクルマが減っているのかということは、登録車販売台数ランキングの移り変わりから見ることができます。
2019年は多い順から「プリウス」「ノート」「シエンタ」「カローラ」「アクア」と続きます。これら5車種を含むベスト10のうち、大型スポイラーが付けやすそうなセダンがあるのはカローラだけ。しかも、カローラのセダンは購入層からすればスポイラーを付ける人は少なそうです。
それが、30年前の1990年のベスト10を見てみると、カローラ「マークII」「クラウン」「カリーナ」「コロナ」と続き、これら5車種を含むベスト10のうち、セダンやクーペが設定されているのは9車種となります。
この傾向はしばらく続き、1992年にひとつ減って8車種、1993年には7車種、1995年には6車種へと減少傾向はあるものの、いまよりはスポイラーが付きそうな車種が続きます。
それに加えて、スポイラーを付けたくなる2ドアクーペも減少しています。日産「シルビア」やトヨタ「セリカ」は2000年代に消滅、最近復活したトヨタ「スープラ」もそのころに一度消滅しています。
クルマは十数年使われることを考えれば、スポイラーが装着できそうなセダンや2ドアクーペがここ10年ほどで急速に見かけなくなってきたことと合致します。
スポイラーの装着が減ってきた理由の大きなものとしては、やはり装着できる車種がなくなったということも大きいようです。
※ ※ ※
現在でも、メーカーで大型リアスポイラーを装着したクルマはいくつか残っています。
数少ない大型リアウイングを装着した現行モデルであるホンダ「シビックタイプR」や、生産終了となったスバル「WRX STI」では、門型にするなど基準に収める工夫の跡が見られます。
また、一方ではリアスポイラー以外の空力設計が進化しているということもあります。高速走行をしなければただの重量物でしかないスポイラーは、燃費も重視する時代では、減少傾向は不可避のようです。
営業が「売ってやる」と約束してくれればいいけど。
技術や設計の立場から言えば、200km/h以下くらいの速度の空力なら、リップスポイラーとフロントバンパースポイラーでも効果あるし。リアスポイラーがよく効くのなら当然フロントも頑張る必要があるし。そうなるとコストかかるし。
バックドアやトランクリッドに重いスポイラーつけたら、ダンバーステーやトーションバーも高価になるし。
正直、Cセグ程度の値段の車には装着したくない装備だろう。