独創性か美しさか? 大胆なデザインが話題になった名車5選
スポーツクーペは独創的なデザインで個性を主張
●フィアット「クーペフィアット」
1度見たら忘れられないフォルムを持つクルマとして有名なモデルがあります。それは1993年に誕生したフィアット「クーペフィアット」です。
ボディサイズは全長4250mm×全幅1766mm×全高1340mmで、2リッター自然吸気エンジンと同ターボエンジンを搭載。
4座席を持つFFクーペと、スペックだけでは飛び抜けたものがあるわけではありませんが、このクーペフィアットに乗る理由はただひとつ、個性的なデザインです。
ふくよかなボリュームを持たせつつ、ワニのようなフロントマスクや、ホイールアーチ上部の跳ね上がったキャラクターライン、ナイフで切り落としたかのようなリアエンドなど、どこを見ても斬新なデザインで大胆さに満ちています。
心臓部は223馬力まで引き上げられた2リッターターボエンジンを搭載し、速さも折り紙つきでした。
しかし、その独創的なフォルムの代償は大きく、整備性は非常に悪いともいわれていました。
●アウディ「TT」(初代)
最近では国産メーカーも大胆なデザインを採用するケースも増えましたが、輸入車はエモーショナルで独創的なデザインの車種が多い印象があります。
とくにスポーツカーやクーペは、美しいスタイリングが肝といっても過言ではありません。
かつてのスポーツカーといえばフロントノーズはシャープで、ボディ後半分に厚みを持たせた「くさび」のようなフォルムの「ウェッジシェイプ」が主流でしたが、そんな常識を打ち破ったのが1998年に誕生したアウディ「TT」です。
プラットフォームは当時の「A3」と共有しながらも、まるで半円を3つ重ねたかのような曲線でまとめられたボディは、いま見ても近未来的なデザインです。
またインテリアにも、この円をいくつも重ねたようなデザインが採用されています。
ボディサイズは全長4041mm×全幅1764mm×全高1346mmで、1.8リッターターボエンジンを搭載。FFと4WD(クワトロ)が選べました。
しかし、独創的なフォルムゆえ、時速180km以上の超高速域で車体にかかる上向きの力(リフト)が大きくなることが判明。
それが原因で車両が横転する事故が起きたことから、アウディは急遽リアスポイラーの追加やサスペンションの設定変更、横滑り防止装置「ESP」を採用するという対策が取られます。
また、すでに販売した車両に対しても、無償でリアスポイラーが提供されました。
さらに、この特徴的なフォルムは実用面では不利でした。シートは2+2の4座ですが後部座席は大人が座れるような頭上空間はなく、あくまで2シーター+補助2席と割り切るなど、スタイリングを重視したスポーツクーペでした。
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好き嫌いはあるものの、やはり個性的なクルマは後世に語り継がれるような魅力があるものです。
現在販売されているモデルのいずれかが、将来デザインについて語られる存在になるのか、興味深いところです。
クーペフィアットを出すくらいならムルティプラでしょ