期待は大きかったけど残念な結果に!? 名車に成りそこねた車5選
映画の公開がもう少し早かったら、運命は変わっていた!?
●三菱「i-MiEV」
三菱「i-MiEV」は同社の軽自動車「i(アイ)」をベースに、エンジンに替わってリチウムイオン電池とモーターを、車体のリアに搭載したピュアEVとして2009年に発売されました。
日産初代「リーフ」が2010年の発売なので、i-MiEVは世界初の量産電気自動車という名誉あるクルマです。
発売当初は法人、官公庁、自治体向けでリース販売され、64馬力のモーターと容量16kWhの駆動用リチウムイオン電池を搭載し、価格(消費税込)は459万9000円に設定されました。
一般のユーザーには2010年4月からデリバリーが開始されると、2011年には速くもバリエーションを拡大し、標準車の「G」グレードに加えて46馬力のモーターに10.5kWhの電池を搭載した廉価グレード「M」が追加されます。
モーターという動力源の特徴により、発進時から最大トルクを発揮することから、i-MiEVは軽自動車ながらも優れた加速性能が話題となるなど、EVを身近な存在にした立役者です。
しかし、補助金交付後の実質的な価格がMで188万円、Gで284万円と高額で、ガソリン車と比べてしまうと航続可能距離も短いため、販売台数は低迷。
そうしたなか、2018年4月にマイナーチェンジがおこなわれ、前後バンパーを歩行者保護に関する保安基準の変更に対応したため、全長が85mm伸びた3480mmとなり、軽自動車から普通車に格上げされました。
そのため、日本国内での販売はますます厳しい状況となりましたが、i-MiEVが世界初の量産EVであることは変わりません。
●デロリアン「DMC-12」
1975年、GMの副社長だったジョン・デロリアンは、自分が理想とするクルマをつくりたいという思いから、GMを辞めてデロリアン・モーター・カンパニー(以下DMC)を設立。
その後、同社初のクルマが1981年1月に発売されたデロリアン「DMC-12」です。
外観はイタルデザインのジョルジェット・ジウジアーロによるデザインで、スーパーカーをイメージさせるクサビ型のボディに、ガルウイングドアを採用した2ドアクーペ。
エンジンはプジョー、ルノー、ボルボが共同開発した132馬力の2.85リッターV型6気筒を、リアに搭載しています。
ボディ全般の開発は英国のロータスがおこない、スチール製のバックボーンシャシにFRP製のボディパネルを架装。さらに外装には無塗装のステンレス製パネルが装着され、未来的なフォルムを実現しています。
こうしてデビューしたDMC-12は大いに話題となり、価格が2万5000ドル(現在の約7万ドル相当)と高額ながら、発売当初はバックオーダーを大量に抱えたほどです。しかし、当時はアメリカの景気後退があり、すぐに販売が低迷。デロリアンは大量の在庫の処分ができない状況となりました。
また、社長が麻薬密売の容疑で逮捕される(後に冤罪と判明)というスキャンダルも追い打ちをかけ、DMC-12の発売からわずか1年後の1982年2月に、DMCは破産を申請。
その後、DMC-12は管財人のもとで残った部品から生産が続けられ、1982年12月に生産終了となるまでに、約9000台がラインオフしました。
破産から3年後の1985年に公開された映画「バックトゥーザフューチャー」で、DMC-12はタイムマシンとして登場し、大ヒットしたことで世界中に知られる存在になりましたが、当時はすでにDMCの破産後だったのが惜しまれます。
現在、DMCブランドの権利はアメリカのテキサス州にある「DMCテキサス」という会社が保有しており、EV化したDMC-12の生産を2021年秋に予定していると発表しました。
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最後に紹介したDMC-12が、わずか2年弱の生産だったことは意外だったと思う人も多いのではないでしょうか。
そして、DMCが再び注目される出来事として、2019年12月に日本で公開された映画「ジョン・デロリアン」があります。
内容はジョン・デロリアンの半生が描かれているのですが、残念ながら映画もヒットしたとはいえません。
しかし、DMC-12の記憶は、多くの人に刻まれているのではないでしょうか。
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