クロカン4駆の王道を行くモデルとは!? 無骨さが魅力の4WD車3選
現在、国内外で高い人気を誇っているSUVですが、1990年代初頭の日本ではクロスカントリー4WD車が爆発的にヒットした「RVブーム」がありました。この頃は各メーカーからクロスカントリー4WD車が発売され、数々の名車も誕生しています。そこで、1980年代から1990年代に登場したクロスカントリー4WD車を3台ピックアップして紹介します。
ゴツいほど人気だった頃のクロカン4駆を振り返る
近年、日本で人気上昇中のクルマといえばSUVがあります。また、欧州では日本以上に売れており、欧州全体のシェアは4割にもなるといいます。
現在、販売中のSUVの多くは、乗用車をベースとしたクロスオーバータイプが主流で、舗装路での走行をメインに開発されていますが、かつては本格的なクロスカントリー4WD車(以下、クロカン4駆)が数多く存在。
とくに1990年代初頭の「RVブーム」ではクロカン4駆が爆発的にヒットし、各メーカーから次々とクロカン4駆が発売されたほどです。
そこで、1980年代から1990年代に登場した、王道をいくクロカン4駆を3台ピックアップして紹介します。
●トヨタ「60系 ランドクルーザー」
日本が世界に誇れるクルマはいくつもありますが、そのなかでも長い歴史があり、高い信頼性によって世界中で愛されているのがトヨタ「ランドクルーザー」シリーズです。
ランドクルーザーには大きく分けて3つのタイプがあり、「ランドクルーザープラド」を代表とする「ライトデューティ」、2014年には期間限定で日本でも販売された「ランドクルーザー70」が「ヘビーデューティ」、そして、シリーズ最高峰の「ランドクルーザー200」が属する「ステーションワゴン」となっています。
このうちステーションワゴン系のランドクルーザー200は、いまでこそラグジュアリーなモデルとして人気ですが、かつては生粋のクロカン4駆でした。
1980年に発売された「60系 ランドクルーザー」は、1967年に発売された「55系」の後継モデルとしてデビュー。日本では商用車のライトバンとして販売されました。
外観は55系に比べ迫力とモダンさを兼ね備えたデザインに一新。
内装も前席をベンチシートからセパレートに変更し、乗車定員は従来の6名から5名となり、エアコンやパワーステアリング、ファブリックシートなどを装備したことで、より乗用車に近く、個人のユーザーからも支持されました。
発売当初に搭載されたエンジンは4.2リッター直列6気筒ガソリンと、3.4リッター直列4気筒ディーゼルを設定。1982年には4リッター直列6気筒ディーゼルが追加され、後期型ではディーゼルターボや、ガソリンエンジンには電子制御燃料噴射が採用されています。
トランスミッションも4速MTと5速MTのみでしたが、1985年には4速ATが加わり、イージードライブ化にも対応しました。
駆動方式は全車トランスファーを手動で切り替えるパートタイム式を採用し、デフロックも設定されるなど、高い悪路走破性を誇っています。
その後60系は改良を繰り返し、1989年に80系へとバトンタッチ。より豪華な装備が充実し、代を重ねるごとに駆動系の電子制御化が進み、最新の200系はクロカン4駆の最高峰に君臨。
近年は無骨でクラシカルなデザインの60系の魅力が再評価され、80系のフロントフェイスを60系にコンバートするカスタムもおこなわれています。
●日産「サファリ」
国産クロスカントリー車の先駆けだった三菱「ジープ」と並ぶ存在だったのが日産「パトロール」です。このパトロールの後継車として、1980年に初代「サファリ」が発売されました。
初代はシンプルな装備に迫力あるボディで、プロからも信頼される本物の「ギア」として人気となります。
そして1987年に登場した2代目では、サスペンションを初代の4輪リーフリジッドからコイルスプリングへ変更するためにラダーフレームが新設計され、オンロード走行時の操縦安定性と、普段使いの快適性が大幅に改善されました。
ボディバリエーションは、ロングホイールベースに4ドアの「エクストラ」と「エクストラハイルーフ」、ショートホイールベース、2ドアの「ハードトップ」と、3種類が設定され、ワイドトレッド化のための張り出したフェンダーによって全車1ナンバー登録となっています。
1988年には4速AT車が追加され、1991年には3ナンバー登録のワゴンをラインナップし、エクストラでは3列シートの7人乗りとなり、幅広いユーザーを獲得。
また、2代目サファリは発売当初、全車ディーゼルエンジンでしたが、ワゴンにはガソリンエンジンが搭載されるなど、乗用車要素が強くなり、RVブームの頃は大型で迫力のあるボディによって高い人気を誇りました。
その後、1997年に3代目が登場。ブームの終焉によって国内での販売が低迷したことで、2007年に3代目をもってサファリの歴史に幕が閉じられましたが、現在も海外ではパトロールの名で販売が続けられており、よりラグジュアリーなモデルとなっています。