「最新は最良」ってホント? ポルシェ「911カレラS」をガチ試乗【動画あり】
プロレーサー、テストライダー・ドライバーの丸山浩氏による、オーナー目線のインプレッション。今回は、ポルシェ992型「911カレラS」インプレをお届けしよう。
変わってないようで大きく変わった!? 992型「911カレラS」
ポルシェ「911」の8代目となる992型「911カレラS」のインプレッションをレポートしよう。
現在、2世代前となる997型「カレラ」と「カレラS」を気に入り、プライベートでもよく運転しているが、最新モデルを試乗する機会は久しぶり。試乗した911は、セラミックコンポジットブレーキも装備。それでは早速、外観から見ていこう。
ボディラインは代を重ねるごとに洗練されつつも、風格はいまなおTHE・ポルシェ、ひとめでわかる出で立ちだ。
立ち気味のフロントウインドウから後ろへルーフを伝って流れるように降りていくラインは、リアタイヤ周りのボリュームあるふくよかなラインへつながっている。
ヘッドライトの張り出し具合も、そうそうこれくらい起こしてこそ911である。しかも点灯させると主張が凄い。煌々と輝く片目4つずつの光源は、遠くから見ても「お、新型が来たな~」とすぐに認識できるほどだ。
リアを見てみると、一本スパッと繋いだテールランプのデザインはどうだろう? ここは好みが分かれるのではなかろうか。
バンパーに埋め込まれたエキゾーストエンドにも一体感があるが、リプレイスマフラーにする場合どうしたものかと、チューニング屋としては一考させられる。
そしてガパッとせり上がるリアスポイラーの大きさたるや。パネルまるごと開いているかというくらい大きくなったので、これはダウンフォースが効きそう。しかし閉じている時のデザインの方がカッコいいと、個人的には思う。
●アナログを残してほしい「911」のコックピット
さて次は運転席へ。乗り降りのし易さを保ちつつ、スポーツドライビングでのホールド性も高いシートポジションの作り込みには、911の伝統が受け継がれている。
しかしコックピット周りは随分デジタル化されたものだ。ステアリングのボタンしかり、シンプルになったセンターコンソールしかり、そしてシフトノブはどこ行った!? というくらい小振りになったモードセレクト機能のみに特化したシフトノブ、というよりシフトセレクターレバー。
PDKだからこの大きさで差し支えないのだけども、997乗りとしては一抹の物足りなさを感じてしまう。
極めつけはメーター周り。遂にアナログの針がセンターのタコメーターだけになった。あ、いやクロノグラフもアナログか。是非ともここは今後とも死守していただきたい。
後はすべて液晶だが、嬉しいことに5連メーターの意匠はしっかり踏襲している。勿論ボタンをポチポチやれば水温やGセンサーやナビマップやラップタイマーなどなど、センターの大きな液晶パネルと合わせて、ここでは書ききれないくらい莫大な情報を表示してくれる。実に便利。
便利なんだけど、ややもすると情報過多ではなかろうか。一気にあれこれ見せられても、追いつかないよ。やっぱりシンプルなアナログ5連メーターの枠が恋しい……なんて言ったら、懐古主義オヤジと叩かれてしまうか(笑)
ちなみに後部座席はというと、当然というか相変わらずタイトなつくり。座面はまだクッション性はあるものの、背もたれ部分は薄くて硬い。
身長168cm・標準体型の私で座れないことはまったくないが、座ったとしても15分が限界。最寄りの駅まで送ってもらうくらいが関の山だろう。
ラゲッジスペースとしては結構な量を積める。ただし、背もたれを倒しても最奥のスペースからフラットになるわけではなく、座面との間にも空間が出来てしまう。
安易に荷物を積んでしまうと、ブレーキングで荷物が前にゴロゴロしてしまうだろうから、うまい積載ポジションを探していただきたい。
「しかも点灯させると主張が凄い。煌々と輝く片目4つずつの光源は、遠くから見ても「お、新型が来たな~」とすぐに認識できるほどだ。」
と書くぐらいなら「点燈させた時の正面顔」の写真ぐらい載せたら如何ですか?