ランボルギーニはなぜ販売好調?「ウルス」と「ウラカンEVOスパイダー」に乗って考えた
静岡県御殿場市で、ランボルギーニのモデルを体感する試乗会「DRIVING EXPERIENCE AT THE WHEEL OF A LAMBORGHINI」が開催された。そこでは人気絶好調のスーパーSUV「ウルス」と、2020年5月に日本上陸したばかりの「ウラカンEVO RWDスパイダー」の2台を試乗することができた。
スーパーSUV「ウルス」を一般道で試乗する
ランボルギーニが好調だ。
新型コロナウイルス感染拡大による景気後退のなか、2020年の輸入車ブランドは軒並み販売実績を落としている。日本自動車輸入組合(JAIA)の統計によると、2020年1月から7月までの外国メーカーの新規登録台数は、前年同期比で77.5%となっている。
そんななか、ランボルギーニは前年同期比96.9%の431台と、緊急事態宣言による外出自粛の影響をほとんど感じさせない数字を叩き出している。
ほかにもフェラーリやポルシェも好調だという事実だけを見れば、スポーツカーブランドは不況に強い、と断言してしまいがちだが、大幅に数字を下げているプレミアムブランドもあるため、単純にその理由だけではないはずだ。つまりランボルギーニには、他ブランドにはない魅力があるからこそ人々に選ばれるのだろう。
ランボルギーニの唯一無二の魅力とはなんだろうか。
静岡県御殿場市にある、リストランテ桜鏡をベースに、ランボルギーニ・ドライビングエクスペリエンスは開催された。
まずハンドルを握ったのは、スーパーSUV「ウルス」。ウルスはフロントに650hp・850Nmを発生する4リッターV型8気筒ツインターボエンジンを搭載。トランスミッションは8速ATを組み合わせ、0-100km/h加速は3.6秒、最高速度は305km/hと、市販されているSUVのなかで最速を誇るモデルだ。
ウルスは世界中で大ヒットモデルとなり、市場導入からわずか2年の2020年7月21日には生産台数が1万台を突破。日本でも2018年2月に登場して以来好調なセールスで、「ウルスではじめてランボルギーニブランドを体験するというお客さまが増えました(アウトモビリ・ランボルギーニ・ジャパンPR担当者)」という。女性ユーザーも多いモデルとのことだ。
ベースの車両価格は2607万5736円(消費税抜き、以下同)。試乗車はこれに加え、23インチアルミホイールやバング&オルフセン3Dプレミアムサウンドシステム、さまざまなアシスタントパッケージが装着され、トータル3162万9089円となっていた。
インテリアは直線基調のデザインでまとめられ、まさにランボルギーニの他スポーツモデルと共通の雰囲気をまとう。他と違うのは、バックミラーに映るリアシートと、ドライバーズシートから見える外の風景だ。
赤いカバーを上げ、スタートボタンを押しエンジン始動。このあたりもランボルギーニの流儀だ。4リッターV8ツインターボが目を覚ますが、その音色はいたってジェントルだ。
パドルシフトを引いてスタート。インストラクターを先頭に、4台のウルスが国道138号線を箱根・仙石原方面に走っていく。さまざまなボディカラーのウルスが連なるその光景に、スマホで写真を撮るツーリストの姿もあった。
コロナ禍が続いているとはいえ、試乗会当日は8月の夏休み期間。観光地である仙石原までの道は通行量も多く、流れは法定速度以下。「一般道では、市販SUV最速の称号を持つウルスの魅力が伝わってこないのではないか?」という思いは杞憂に終わる。
SUVとしては低めのアイポイントながら見切りがよく、23インチ・35扁平のオプションタイヤでも路面からのアタリはクリアにいなす。全長5112mm×全幅2016mm×全高1638mmという大きさとは思えないほど、運転はしやすくボディサイズに気を遣うことがない。NVHを考えれば、ラグジュアリーSUVとしてもウルスは最高レベルだろう。
先頭車のインストラクターから無線で、「それではドライブモードを変えてください」と指示が入る。豊かな時間を楽しむことができた。ウルスにはTamburoと呼ばれるドライブモードセレクターがあり、ドライバーの好みに応じてドライビングダイナミクスを変えることが可能だ。
STRADAからSPORTへと、そしてCORSAへと変えてみると、ギアは高回転まで引っ張ってからシフトアップ、さらにV8エンジン音も変化していく。乙女峠のトンネルのなかでは、官能的なサウンドを響かせたウルス。極上の時間を味わった。
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