日産10年ぶりの新顔「キックス」 ライバルと異なる乗って分かる3つの魅力
日常の使い勝手はライバルを超えた!?
新型キックスで、まず驚いたのが室内の広さ、とくに後席の広さです。それはリアドアを開けた瞬間に、「なんと!?」と驚くほど明確にわかります。
象徴的なのはひざ周り空間(リアシートに座ったときのひざ周辺のフロントシートとの間隔)。明らかにゆったりとしていて、これまで日産のコンパクトクロスオーバーSUVとして親しまれていた「ジューク」を大きくしのぐものです。
このクラスで、もっとも後席が広いのはホンダ「ヴェゼル」ですが、ほぼそれに近い広さを手に入れていることがわかります。
そして後席のヘッドルーム(頭上のゆとり)は、ライバルのなかでナンバーワンの広さ。居住性に優れているのがキックスの大きな特徴であり、ファミリーユーザーには大きな魅力となることでしょう。
「どうして日本では、ジュークの後継が新型ジュークではなく、実質的にキックスなのか?」と開発者に尋ねると、次のように説明します。
「ジュークはスタイル重視のパッケージングで、新型も室内は圧倒的に広いわけではないです。
しかし、今の日本のBセグメントクロスオーバーSUVセグメントは広さに対する消費者のニーズが強いため、競合車に比べて室内の広さで有利なキックスを導入することになりました」
ちなみにコンパクトクロスオーバーSUVのライバルを見渡すと、トヨタ「C-HR」やマツダ「CX-3」は後席の広さよりもスタイルを優先したパッケージング。
ニューカマーのトヨタ「ヤリスクロス」(全長が4180mmとキックスより110mmも短いので不利もある)は後席の広さも重視していますが、キックス(やヴェゼル)はそれ以上に広いのがポイントといえるでしょう。
一方でトヨタ「ライズ」やダイハツ「ロッキー」は4mを切る短い全長で車体はひとまわり小さいですが、広い後席を備えるパッケージングの優等生と判断できます。
いずれにしろ、キックスは後席の広さはクラストップレベルの実力だから、日常的に後席を使うユーザーも安心して購入できます。
キックスのパッケージングには、もうひとつの驚きがありました。それはラゲッジルーム。とにかく広く、こちらは従来クラストップだったヴェゼルを超えていたのです。
たとえば、荷室容量はヴェゼルが393リットルなのに対し、キックスは432リットルと約1割のアップ。後席使用時の床の奥行きも、約10cm上回っているのだから見事です。ちなみにジューク(初代モデル)はわずか251リットルしかありませんでした。
「後席と荷室が広いコンパクトSUVが欲しい」という人にとって、キックスはまさに直球ストライクのクルマなのです。
Writer: 工藤貴宏
1976年長野県生まれ。自動車雑誌編集部や編集プロダクションを経てフリーの自動車ライターとして独立。新車紹介、使い勝手やバイヤーズガイドを中心に雑誌やWEBに寄稿している。執筆で心掛けているのは「そのクルマは誰を幸せにするのか?」だ。現在の愛車はマツダ CX-60/ホンダ S660。
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