日産は新顔「キックス」をなぜ導入? 謎多い新型SUV 5つの疑問と日産の回答は

タイから輸入されるキックス 現地仕様との違いは?

●疑問その3:日本仕様は、海外仕様とどこが違うのか

 担当者によると、e-POWER搭載によって、車体やサスペンション各所など、かなりの違いがあるといいます。

 それを受け、リチウムイオン二次電池やモーターなど重量物を搭載することも考慮し、車体の主要な部分やサスペンションのメンバーの剛性を上げました。

 そのうえで、ショックアブソーバーの大径化や、ウレタン製のバンプストップなどを採用し、乗り心地を向上しています。

 また、タイ仕様では、日本仕様に搭載されてる「プロパイロット」を装備していません。

 さらに日本モデルのみ、「インテリジェントエマージェンシーブレーキ」や「踏み間違い衝突防止アシスト」が標準装備されています。

新型キックスはタイで生産され、現地でも販売される(写真はバンコクモーターショー2020の様子)
新型キックスはタイで生産され、現地でも販売される(写真はバンコクモーターショー2020の様子)

●疑問その4:なぜ、タイ生産なのか

 グロ―バル市場に対する生産・販売体制を考慮した結果だと、日産は説明します。

 今後、日本でキックスの販売が拡大しても、日本国内やほかの地域でタイを補完するような生産体制を実施する計画はないようです。

●疑問その5:ノートやセレナに搭載されるe-POWERとは、どう違うのか

 発電機として使う1.2リッターガソリンエンジンなど、ハードウェアでは共通性が高いが、モーターの最大出力を80kW(109馬力)から95kW(129馬力)へ19%アップ。

 これにより、ノートe-POWERのユーザーから指摘が多かった高速道路での合流や追い越し時などで「もう少しパワーが欲しい」という要望に応えました。

 併せてユーザーから指摘が多かった「街中走行で、エンジンがかかる頻度を減らして欲しい」という声にも対応。

 これまでのe-POWERでは、バッテリーの充電量を重視するため、低速走行で多めにアクセルを踏むとエンジンが始動する場合が多かったのですが、キックスe-POWERでは、車速を重視し、低速では極力、エンジンを始動して発電しないような制御を採用しました。

 搭載するリチウムイオン二次電池の電気容量はこれまでと同じ、1.5kWhを維持しながら「電池の使い方」を工夫しているといいます。

 また、車体の改良と制御の改良を上手くバランスさせたことで、ノートe-POWERに比べて急減速時などのクルマ全体のブレが少なくなり、走りの質感が向上しました。

※ ※ ※

 キックスは6月24日に発表され、同月30日から発売されましたが、すでに約8000台受注という好調な滑り出し。なお、コロナ禍による需要の予測が難しいことから、月販目標台数は設定していないといいます。

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Writer: 桃田健史

ジャーナリスト。量産車の研究開発、自動車競技など、自動車産業界にこれまで約40年間かかわる。
IT、環境分野を含めて、世界各地で定常的に取材を続ける。
経済メディア、自動車系メディアでの各種連載、テレビやネットでの社会情勢についての解説、自動車レース番組の解説など。
近著に「クルマをディーラーで買わなくなる日」(洋泉社)。

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コメント

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2件のコメント

  1. 日産末期のよくある話。
    ゴーン氏が来る前に同じことそしていた。
    そもそも後部座席が狭いのなら”他の車を買え”と言う話。
    エクストレイルかノートで構わないだろう。
    その一方で車高が高くて立体駐車場にはいれない。
    ジュークもそれが問題になって、オーテックで車高を落とした車がカタログに入っていた。
    本当にずれている会社だな。

  2. 浅薄な知識でメーカーを誹謗中傷をするコメントは削除願います。

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