いまポルシェ2代目「ボクスターS」は、買いか否か!? 徹底検証!

プロレーサー、テストライダー・ドライバー、そして中古車査定士でもある丸山浩が、気になる中古車をピックアップして、適正価格と狙い目のグレードを考察。今回は、2世代目となるポルシェ「ボクスターS」を検証する。

初代と2代目の「ボクスター」の違いは?

 今回は、世代的には2代目となる2006年登録のポルシェ「ボクスターS(987型)」にクローズアップしてみよう。

 以前紹介したのは初代986型のボクスターで、涙目で知られる996型の「911」と同じ世代となる。911が涙目を廃し997型へ移行したのと同時期に登場したのが、今回紹介する987型ボクスターである。

 いやはや、数字が並ぶポルシェのモデル番号、並べれば並べるほど頭がこんがらがってくるのでシンプルに、2代目へのモデルチェンジでボクスターがどの様に変化したのか、とくに「S」の試乗を通して気付いたところをお伝えしよう。

涙目の初代か、それとも今につながるヘッドライトデザインの2代目を選ぶか、ボクスター選びは奥が深い
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 ボクスターSは987型への進化で、排気量3.2リッターは据え置きのまま20psパワーアップ。更にその後もマイナーチェンジで排気量を拡大しつつ295ps、310psとパワーアップしていく。

 ここで紹介する個体は987型の初期、285psのモデルだ。首都高の合流加速などでは、先代となる986型からのパフォーマンスアップを顕著に体感できる。まさにパワーフィール、レスポンス、トルク感、どれをとっても全体的に底上げされている感じだ。

 エンジン単体をスポーツカーとして正常進化しているといってよい。軽く吹け上がる乾いたエキゾーストノートと、4000−5000rpmの加速感は、なんともスポーツカーらしくて気持ちよい。

 同時にボディサイズもひと回り大きくなっている。全長でプラス10mm、全幅はプラス20mm。ホイールベースこそ据え置きだが、トレッド幅は前後とも拡大されている。

 これにより、ハンドリングには落ち着きが増した。この進化の方向性は同時期の911と同様だ。しかし、2代目ボクスターは車両サイズがやや大きく感じられるようになり、ロードスターらしい軽快なドライビングが薄まったともいえる。その代わり、上質感と安定感は確実に高まっている。

 当車両は6速MT仕様。柔らかいタッチで扱いやすいシフトフィールだ。初代同様5速ATティプトロニックの設定もあるが、操る楽しさを求めるなら、MT仕様がまだ豊富に流通しているので選びやすいだろう。

 機能面における劇的変化は、幌の開閉がサイドブレーキを掛けずとも、つまりは走行中でも可能になった点だろう。さすがに走行風圧もあるので作動に上限速度はあるが、それでも利便性は格段に向上した。

 いや、利便性もさることながら、車両が動きながらのルーフ開閉は、もはや男のロマンといっていい。気分はさながら、滑走路に向かいつつキャノピーを閉じる戦闘機パイロット。

 これはもう見せ場中の見せ場であるからして、テンションも高まって必要以上に作動させること間違いなし。ちなみに、幌とフロントウインドウ上端との連結ロックは、この世代のボクスターでは手動だ。後に全自動となるが、ホロ開閉の際の始まり、或いは終わりにレバーを片手でガシャンと機械式におこなうのも、これはこれで味があるのではなかろうか。

【画像】初代と2代目のボクスターの違いを写真でチェック!(23枚)

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