小さいクルマが熱かった! 一時代を築いた軽ホットハッチ5選
人気の高い軽自動車ですが、現在の軽スポーツモデルはホンダ「S660」やダイハツ「コペン」のようなオープンスポーツと、スズキ「アルトワークス」を残すのみとなってしまいました。しかし、かつてはさまざまなメーカーがこぞって渾身のモデルを登場させた「軽ホットハッチ」というジャンルが人気でした。今回は、一時代を築いた軽ホットハッチの名車を紹介します。
64馬力で楽しめる、かつての軽ホットハッチ
日本独自の規格である軽自動車は、高い経済性とコンパクトなボディで、いまやもっとも売れ筋のカテゴリーです。
もともとは排気量が360ccからスタートした軽自動車は、1976年に550ccに拡大され、1990年には660ccを上限とした規格に変更されました。
古くからハッチバックのボディに強力なエンジンを搭載してスポーツモデルに仕立てた「ホットハッチ」というジャンルは存在していましたが、軽自動車の規格変更がおこなわれた1990年前後は各メーカーでハイパワー競争が繰り広がれていた時代でもあります。
そこで軽自動車のパワー競争に最適な解決策として「ホットハッチ」をうたうスポーツモデルが多数登場しました。
軽自動車の最高出力は64馬力に自主制限されていますが、この規制枠いっぱいの高出力エンジンを軽量なボディに搭載した「軽ホットハッチ」は、当時の若者を中心に大人気になったものです。
今回は、軽ホットハッチの名車を5台紹介します。
●スズキ「アルトワークス」(3代目)
現在軽自動車界で貴重なピュアスポーツモデルとして歴史を積み上げてきたマシンが、スズキ「アルトワークス」です。そして、この「アルトワークス」の登場で軽ホットハッチというジャンルが誕生したといっても過言ではありません。
1970年代のスズキの軽自動車「フロンテ」の商用版として登場した「アルト」ですが、1979年のデビュー当時のセールスポイントは、ヒーター以外をほぼオプション化することで実現した「47万円」という徹底した低価格路線でした。
その後1984年には2代目へフルモデルチェンジ。バブル景気を迎えつつあり、軽自動車も装備の充実化と高性能化(ハイパワー)が求められる時代になりました。
そんな時代背景を受けて、1987年に追加されたアルトワークスは、当時の軽自主規制枠を超える64馬力を達成。このハイパワーな550cc3気筒ターボエンジンを搭載した初代の速さを受けて、軽の自主規制は64馬力までになったといわれています。
その後、1988年に3代目、1994年に4代目へとアルトがフルモデルチェンジするたびに、アルトワークスも登場していますが、そのなかでも最強モデルとして現在も語り継がれているのが3代目アルトワークスです。
競技のベース車両を念頭に開発されていたアルトワークスは、無駄な装備を極限まで削ぎ落としています。
ベースのアルト(4代目)が少し丸みを帯びたデザインになったのに対し、アルトワークスは丸目2灯の2代目のデザインを受け継ぎ、全長3295mm×全幅1395mm×全高1380mmのボディサイズに660cc3気筒DOHCターボエンジン「K6A」を搭載していました。
64馬力の最高出力と低回転域から盛り上がるトルクで、わずか650kgという軽量ボディと相まって、日本のワインディングでは速さを、競技では無敵の強さを誇り、多くの若者から支持されました。
●ダイハツ「ミラTR-XX」(3代目)
軽自動車の2大メーカーといえば、スズキとダイハツです。スズキにアルトがあるように、ダイハツには「ミラ」があります。
そして軽ホットハッチでは、スズキのアルトワークスに対抗すべく開発されたライバルが、ダイハツ「ミラTR-XX」です。
ライバルであるアルトワークスが競技車両を念頭に開発されたのに対し、ミラTR-XXはオンロードでのスポーツ走行を念頭に開発されたといえます。
なかでも1990年にデビューした「ミラTR-XX」(3代目)は、5速MTに加え、軽自動車初の4速ATを採用。
熾烈な軽のハイパワー競争時代にあって、ボンネットのエアスクープやリアウインドウを覆うような独特のリアウイングを装備して、スポーツ性能を誇示しつつも2トーンボディやボディ同色アルミホイールの採用、ピレリタイヤの装着などからもオンロード志向での扱いやすさも大切にしていたことが分かります。
また、アルトワークスに対抗するため4WDモデル「TR-XX X4」を追加。車両重量はわずか660kgであり、加速性能はアルトワークスに負けない韋駄天ぶりでした。
さらに当時としてはまだ珍しい、パワステやエアコンの標準装備化をしたスポーティなターボモデルが設定されるなど、根強い人気を誇っていた1台です。
スズキの車は買うな‼️
ブレーキ不具合で死ぬぞ‼️