まさに究極のSUVか!? 軍用車から派生したオフロードカー3選
現在、高い人気を誇っているSUVは、舗装路の走行に特化したクロスオーバータイプが主流ですが、SUVの源流となっているのはクロスカントリー4WD車です。そのなかでも、究極のオフロード性能を誇る軍用車をベースにしたモデルを3車種ピックアップして紹介します。
優れた悪路走破性と高い耐久性を誇る究極のSUVとは
現在、世界中で高い人気を誇っているSUVは、クロスオーバータイプと呼ばれるオンロードに特化したモデルが主流となっています。
SUVは本格的なオフロード性能を誇るクロスカントリー4WDを源流としていますが、さらに遡ると軍用車に行き着くのではないでしょうか。
そこで、究極のオフロード性能を誇る軍用車をベースにしたオフロードカーを3車種ピックアップして紹介します。
●三菱「ジープ」
三菱「ジープ」は、米国のウイリス・オーバーランド社との契約によるノックダウン生産から始まり、1956年からは完全国産化を果たしました。
ジープは小型なサイズによる機動力を生かし、「73式小型トラック」として長きにわたって自衛隊員の移動手段として活躍していましたが、現在は退役しています。
ジープのボディタイプはショート、ミドル、ロングが設定され、幌タイプやバンタイプがあり、縦格子のフロントグリルに丸形2灯ヘッドライトのフロントフェイスが特徴です。
シャシはトラックと同様なラダーフレームを採用し、サスペンションは前後板バネのリジッドアクスルとすることで、堅牢かつ高い耐久性を誇りました。
搭載されたエンジンはガソリンとディーゼルが設定され、歴代モデルでは排気量も多岐にわたり、使用状況によって選択が可能でした。
なお、軍用車がルーツだったことから装備は必要最低限のものだけで、快適装備というとヒーターとラジオくらいです。
また、パワーステアリングは装着されておらず、乗り心地も悪いことから、興味本位で買ってもすぐに売ってしまうユーザーが多かったといいます。
1990年代の終わりに、排出ガス規制や衝突安全基準の強化への対応が困難なことから生産終了が決定され、1998年に専用のボディカラー、専用幌生地、防錆強化などを採用した「最終生産記念車」を発売。
そして、2001年に三菱ジープは長い歴史に幕を閉じました。
●トヨタ「メガクルーザー」
1994年から1995年にかけて陸上自衛隊に配備が始まった「高機動車」は、大規模災害時の人命救助などの任務を迅速に遂行する点に主眼を置いて、トヨタが開発しました。
この高機動車をベースに1996年から民生用として販売されたのが「メガクルーザー」です。ボディサイズや形状から「和製ハマー」の愛称で呼ばれました。
全長5090mm×全幅2170mm×全高2075mmの巨大なボディでありながら、後輪が最大12度の逆位相に操舵する4WS(4輪ステアリング)を装備することで、最小回転半径5.6mを実現するなど、日本国内でも救援活動を目的としたメガクルーザーならではの特徴です。
搭載されたエンジンは低回転域のトルクを重視した4.1リッター直列4気筒ディーゼルターボで、最高出力170馬力、最大トルク43.0kgmを発揮し、組み合わされるトランスミッションは4速ATのみ。
駆動方式はフルタイム4WDでデフロック機構を装備し、泥濘地や雪道などでの駆動力確保に有効な後輪の空気圧調節機能も装着でき、一般のSUVとは比較にならないほどの高い悪路走行性能を誇りました。
すでに民生モデルは生産終了となっていますが、自衛隊向けの高機動車は政府からの要請によって都度生産となっていて、現在も納入が続いています。