なぜ豪華な霊柩車が減少!? 神社仏閣仕様からシンプルなワゴン車に変わった理由とは
時代とともに霊柩車のトレンドも変化する? 現代におけるその姿とは?
宮型霊柩車が減少する一方、現在は、どんな霊柩車が好まれているのでしょうか。前出の霊柩車製造業者の担当者は、次のように話します。
「これまで、洋型霊柩車のベース車は、並行輸入車が基本でしたが、メンテナンスの問題があるため、その需要もめっきり減りました。
現在は、国産車が7割から8割を占めています。実際に、クラウンや日産『フーガ』といったモデルを改造することが多いです。
こうした車種の真ん中を切り、リムジン型にして提供しています。また、なるべく価格を抑えるために、日産『ティアナ』などを選ぶお客さまもいます」
また、搬送用に使われるバン型霊柩車も、近年じわじわと需要を集めています。バン型霊柩車は、宮型霊柩車や洋型霊柩車に比べて、その費用も5分の1程度で済ませられることから多くのユーザーに選ばれているようです。
さらに、リムジン型のように切断しない「ノンストレッチ型」も増えています。これは、あえて車体に手を加えないことにより、その安全性を高くしています。
近年のクルマは、その技術の進化により、霊柩車としての調整やバランスもシビアになっているため、従来のような「切り貼り」をおこなうとリスクが高くなります。そのため、時代に合わせたクルマの変化に対応するべく、霊柩車の在り方も徐々に変化しているのです。
霊柩車が変化する背景には、日本の超高齢化社会も大きく関係しています。総務省のデータによると、65歳以上の高齢者が2019年時点で過去最高28.4%の割合を占めているほか、厚生労働省では130万6000人に及ぶ死亡者数を発表しました。
その結果、これまでとは違う自分らしい葬儀を求める人が増えたことにより、現在に見合った新しいサービスの展開に合わせて、霊柩車にも変化が見て取れます。
見事な故人タクシーだな