メイドインジャパンの新型車減る? なぜ東南アジア製の日本車が急増するのか
日産「キックス」はタイ、ダイハツ「グランマックス」はインドネシアと、東南アジアで生産された日本車を国内に輸入することが増えました。なぜ東南アジア製の日本車が増加しているのでしょうか。また、品質に問題はないのでしょうか。
東南アジア製の日本車の輸入は、なぜ増えている?
日産期待のコンパクトSUV「キックス」は、タイで生産され、日本に輸入されます。すでに、タイでは同国初となる「e-POWER」搭載車として大々的にお披露目されました。
また、ダイハツが2020年9月4日に発売する、小型商用車「グランマックス」は、インドネシア製。
ダイハツとしては初めて海外から輸入することになりますが、じつは2008年に発売されたトヨタ現行「タウンエース」は、ダイハツがインドネシアで生産しているものです。
タウンエースもグランマックスの登場と同時にマイナーチェンジします。つまり、2モデルは兄弟車なのです。
東南アジア製で日本に正規輸入されているモデルと言えば、タイが主体で、現行では日産「マーチ」(2010年から)や三菱「ミラージュ」(2012年から)など。
そのほか、日本での販売が終わっているモデルでは、ホンダ「フィットアリア」(2002年から)やピックアップトラックの三菱「トライトン」(2006年から)などがあります。
なぜ、このタイミングでキックスやグランマックスなど、東南アジアからの輸入が決まったのでしょうか。そして、気になる品質はどうなのでしょうか。
少し前を振り返ってみると、東南アジアでの自動車産業に世界が大きく注目し始めたのが、2000年代の中頃からでした。
当時、テレビや新聞の経済ニュースで、BRICs (ブリックス)という名称がよく登場するようになりました。経済が急激に成長し始めたブラジル、ロシア、インド、中国、さらに南アフリカを加えた5か国を指す、アメリカの証券会社が作った造語です。
自動車産業界でもBRICsシフトが加速し、筆者(桃田健史)も経済系や自動車技術系の雑誌対応の取材でBRICs各地を飛び回りました。
このBRICsと深い関係があるのが、東南アジアであり、また東南アジア各国でも経済成長が進んだため、タイ、マレーシア、インドネシア、ベトナム、フィリピン、カンボジア、ミャンマー、そしてシンガポールでの取材が徐々に増えていきました。
そもそも東南アジアには、戦後1950年代から日本からの輸出が着実に増えていきました。
1980年代に入ると、初期マハティール政権下のマレーシアが国民車構想を打ち出し、三菱と技術提携(現在は関係解消)した、プロトンが誕生。1990年代にはダイハツもマレーシアに進出し、プロデュアを設立しています。
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