レンタカーでも走行できる? 世界一過酷なサーキット「ニュルブルクリンク」を実際に走るには
1周20.832kmのなかに標高差300m、左コーナー33、右コーナー40あるニュル北コース
レンタカーで走るとしても、ノルドシュライフェのルールを知っておかなくてはならない。
乗員全員のシートベルト装着、ヘッドライトはオン、追い越しは左側からだけ、追いつかれたら右ウインカーで右に寄る、スマホにニュルの緊急用電話番号、コース内は駐停車禁止、黄色旗や信号が点灯していたら追い越し禁止で50km/h制限、ビデオ撮影禁止、ラップタイム計測禁止、ドリフト禁止と細かく決められている。
筆者が最初にニュルを走ったのは1984年だが、1980年代、1990年代は取材で毎年何回も走った。1996年からは毎年日本人の参加者と一緒に走りに来ている。2008年からはニュルで開催するBMW Driving Experienceのインストラクターとして参加している。
何年通っても、ノルドシュライフェは飽きずに走ることができる。それだけ走りを極めることが難しいということだ。森の中を走るから、ドイツ語ではグレーネヘレ(=緑の地獄)と呼ばれている。
一般的にドライビングはコースセッティングとコーストラッキングのふたつが必要だ。
コースセッティングはどのラインをどれくらいのスピードで走るかを決める、いわゆる設計をするわけだ。コーストラッキングは、自分の設計図どおりにクルマを走らせるためにコントロールすることを意味する。
ノルドシュライフェは、このふたつとも難しい。コースセッティングは道を知らなくてはできないが、ノルドシュライフェはブラインドコーナーだらけなので、ブラインドの先がどんなコースなのかをしっかり覚えておかなくてはならない。
最初はコーナーごとの名前を覚えるだけでも苦労する。このブラインドが左右のコーナーだけでなくアップダウンでもあるのだ。公式なデータでは標高差300m、左コーナー33、右コーナー40となっている。
コーストラッキングが難しい要素はふたつある。
ひとつは、あまりにもハイスピードコーナリングが多いことだ。最近のサーキットは安全のためにコーナー手前で大きくスピードを落とさせるデザインになっているが、ノルドシュライフェは150km/hや200km/hでコーナリングするコーナーがたくさんある。このハイスピードで肩に力を入れずに正確にクルマを操ることが難しい。
もうひとつは路面だ。サーキットではあるが一般道の舗装に近く、グリップは高くない。たくさんのクルマが走り込んでいるので、舗装路面が磨かれてしまっている。さらに雨になるとレコードラインは雪道と同じミューになり、極端に滑りやすくなるからだ。それを読み込んでコースセッティングもしなくてはならなくなる。
日本から連れていく生徒には、絶対に事故を起こさないようにひとつのテーマを与えている。
それはスムースドライビングだ。アクセル、ブレーキ、ハンドルの操作をいつもゆっくり丁寧にすることが、安全に走るだけでなく、それを突き詰めると究極の速さにもつながるからだ。逆にいえば、それが速く走るための近道でもある。
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それでは、ノルドシュライフェの名物コーナーでもあるカルーセル(メリーゴーランド)の走り方を解説しよう。すり鉢状のコンクリート舗装のUターンするようなコーナーだ。
シュタイルシュトレッケという右ヘアピンコーナーを立ち上がって、正面に見えるフェンスの右の柱を目がけて道は左右にうねっているが、ハンドルはまっすぐのまま直進する。
左の大きな木のあたりからブレーキング開始、そのまま進むとカルーセルのコンクリートが見えてくるので、2枚目から中に入る。コンクリートは斜面だが、下側のアスファルトは水平だ。タイヤの接地面と舗装面が合うように、4輪ともコンクリートに乗せる。そして左のタイヤがコンクリートの一番下にくるように下のラインを選ぶ。中でアクセルを踏み過ぎると上に出てしまうので注意。出口はコンクリートの右側の角にクルマの中心を合わせるようにハンドルを右に戻しつつ、アクセルを踏みながら脱出する。
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