「GT-R」の技術も搭載! 日産が新開発した電動4WDとは!? 「e-4ORCE」完成が秒読みに

日産は、新開発の電動駆動4輪制御技術「e-4ORCE」の開発が最終段階に入ったと米国で発表しました。「アリアコンセプト」にも搭載される最新4WDシステムとは、いったいどのようなものなのでしょうか。

ハンドリングだけでなく乗り心地の向上も実現

 日産は、新開発の電動駆動4輪制御技術「e-4ORCE(イーフォース)」の詳細を、2020年6月4日に米国で発表しました。e-4ORCEは、電動SUV「アリアコンセプト」に搭載される技術です。

 瞬時にトルクを4輪に伝え、プレミアムスポーツカーに匹敵する安定したパワーとハンドリングを実現するというe-4ORCEは、具体的にはどのような制御をおこなうのでしょうか。

「リーフe+」ベースで制作された「e-4ORCE」のテストカー
「リーフe+」ベースで制作された「e-4ORCE」のテストカー

 e-4ORCEという名称は、100%電気自動車の電動駆動を意味する「e」と、4輪駆動の「4」とパワーの「FORCE」を組み合わせたものです。

 現在公開されているテストカーは、同社の「リーフe+」をベースに開発された車両で、グレーとブラックを基調に塗装され、ボンネットとボディサイドには「NISSAN INTELLIGENT MOBILITY」のロゴがあります。

 日産によると、e-4ORCEが搭載される電気自動車は優れたハンドリングや乗り心地を実現することが大きな特徴だといいます。駆動するのは前後2基の電動モーターです。

 まずハンドリングについて、e-4ORCEは、車両の前輪と後輪にトルクを分配し、路面の状態や車両の状況に応じてタイヤの摩擦(グリップ)が最大化されます。

 通常状態では、前後の駆動力配分は50対50となっていますが、最大で100%のパワーを前後輪にそれぞれ配分可能です。

 さらに、回生ブレーキと油圧ブレーキを組み合わせながら、4輪それぞれの減速力を最適に制御することにより、旋回性能の向上にも寄与するということです。

 乗り心地については、前後輪の回生ブレーキを活用して、車体姿勢の変化を抑える制御をおこなうため、快適な車内空間を実現。乗り物酔いなどの防止にも役立つといいます。この制御は渋滞時も同様におこなわれるということです。

 e-4ORCEの制御は、ドライバーの操作に対して従来のシステムよりも緻密に対応します。これは、動物や物体などの道路上の障害物を回避するために、ドライバーが反応する場合にも非常に役立つといいます。

 また、濡れた路面や凍結した路面、雪に覆われた路面などでも、グリップを最大限に高める駆動力配分をおこなうということです。

※ ※ ※

 e-4ORCEの開発にあたっては、スポーツカー「GT-R」に搭載される「ATTESSA E-TS」や、「パトロール」「エクストレイル」などのSUVに採用される「インテリジェント4×4システム」などのノウハウも活用されたといいます。

 開発を担当する日産の平工良三氏は、e-4ORCEについて次のようにコメントします。

「e-4ORCEは、4輪駆動およびシャシ制御技術のノウハウと、EV開発のノウハウを組み合わせたものです。

 私たちは、さまざまな条件下で楽しくドライブをしたいというドライバーへ、正確なパフォーマンスを提供するために、広い範囲にわたって微調整をおこないました」

 e-4ORCEの開発は、現在最終段階に入っているということです。

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