本当はパンダじゃなかった!? 歴代フィアット「パンダ」3選

実はパンダではなかった!? パンダの名前が残った理由は?

 2002年12月のボローニャ・モーターショーにて、フィアットは小型SUVを意識したコンセプトカー「シンバ(Simba)」を発表。翌2003年3月のジュネーヴ・ショーにて、市販モデルにあたる「ジンゴ(Gingo)」をショーデビューさせた。

●2003-2011:2代目パンダ

当初、ジンゴという名前で発売される予定だった2代目パンダ(写真はパンダ アレッシィ)
当初、ジンゴという名前で発売される予定だった2代目パンダ(写真はパンダ アレッシィ)

 1990年代後半からヒット作に恵まれず、苦境にあえいでいたフィアットは、名作パンダをも一代限りとして心機一転を図るべく、パンダ後継車は「ジンゴ」としてデビューさせる予定だったという。

 ところがこの直後、ライバルメーカーの一つであるルノーから、厳しい指摘を受けることになる。ルノー曰く、自社のヒット作でマーケットでも直接競合する「トゥインゴ」とネーミングが似ている、とのことなのだ。

 ルノー側では提訴の構えも見せていたことから、フィアットはジンゴの名を放棄することを余儀なくされ、結果として2代目「パンダ」としてデビューすることになった。

 2代目パンダのボディデザインは「シンバ」コンセプトおよび「ジンゴ」の段階から、イタリアの名門カロッツェリア「ベルトーネ」が担当していたという。

 また、初代が3ドアだったのに対して、2代目以降のパンダは元来SUVの要素をアピールしたコンセプトだったこともあって、よりユーティリティの高い5ドアに変更。SUVないしはMPV的な、背の高いプロポーションとされたのも重要な特徴といえよう。

 エンジンはいずれもフロントに横置きする直列4気筒で、1.1リッター/1.2リッター・ガソリン「FIRE」、1.3リッター「マルチジェット」ディーゼルが用意されたが、日本に正規輸入されたのは1.2リッターFIRE版のみだった。

 立ち上がりのドタバタこそあったものの、2003年に正式リリースされた2代目パンダは、2004年度の欧州カー・オブ・ザ・イヤーを受賞。商業的にも大きな成功を収め、デビューから4年後の2007年には生産累計100万台を突破したという。

 そして、初代と同じく4WD機構が与えられた「4×4」も設定されたほか、2009年には2代目の初期コンセプトカー「シンバ」を思い出させる、ヘビーデューティなSUVスタイルに衣替えした「パンダクロス」も追加される(日本への正規導入はなし)。

 その傍ら、2006年3月にはデザインコンシャスなキッチンウェア・メーカー「ALESSI(アレッシィ)」がポップに仕立てたコラボバージョン「パンダ・アレッシィ」もデビュー。

 さらに2007年には、現在のアバルトの前身「Nテクノロジー」の開発によって、グランデプント用1.4リッター直列4気筒DOHC16Vエンジンを搭載するスポーツモデル「100HP」も追加された。

●2011~:3代目パンダ(現行)

サイズアップされた3代目パンダ
サイズアップされた3代目パンダ

 2011年のフランクフルト・ショーで発表。そののち、生産・市販に移された3代目パンダ。

 ボディの基本レイアウトは2代目からのキープコンセプトとされるも、キャビン空間の拡大を図るため、若干のサイズアップがなされた。

 イタルデザインのジウジアーロがデザインのすべてを手掛けた初代、ベルトーネが担当した2代目とは違って、3代目パンダのデザイン担当者について公式な発表はなかった。

 しかし、実はVWグループの傘下に収まる直前のイタルデザイン社が関与したことが、当時から公然の秘密のごとく囁かれていた。

 そろそろ時効と思って白状してしまうと、イタルデザイン社の試作車両を秘密裏に請け負うトリノの某カロッツェリアを2010年に訪ねた際に、筆者は3代目パンダの試作モデル用と思しきフロントドアが治具で製作(?)されている様子を目撃している。

 ともあれ完成したスタイリングは、シンプルな直線と面を強調しつつ、あらゆるディテールの角を徹底的に取り払った、その名も「スクワークル」デザイン。日本国内向けプロモーションでは「シカクとマルのあいだのカタチ」と謳っていた。

 プラットフォームやシャシは、フィアット500やランチア「イプシロン」と共用。つまりは、先代パンダから踏襲されたものである。

 しかし3代目パンダのメカニズムにおける最大のトピックは、フィアット500で世界中のフィアット・ファンを歓喜させた直列2気筒の「ツインエア」エンジンが設定されたことだろう。

 加えて、EU仕様では先代と同様に1.2リッター直列4気筒「FIRE」ガソリン、1.3リッター直列4気筒「マルチジェット」ディーゼルも選択可能とされた。

 駆動方式は当初FFのみだったが、2012年には「4×4」が復活したほか、2014年には先代と同様ヘビーデューティ仕立ての「パンダクロス(日本未導入)」も設定されている。

 そして2020年1月には、最高出力70psを発揮するという新設計の1リッター直列3気筒ガソリンエンジン「ファイアフライ(FireFly)」に、12Vマイルドハイブリッド機構を組み合わせた「パンダ・ハイブリッド/パンダクロス・ハイブリッド」も発表された。

 冒頭で述べた「チェントヴェンティ・コンセプト」が示唆する次期パンダは、EVとして2021年にも登場するという観測もあるが、現行型も一定期間は併売されるといわれているようだ。

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