ロータスのF1初優勝から60年 その歴史は「無冠の帝王」からはじまった

英ロータス・カーズは2020年5月28日、フォーミュラ1(F1)でロータスが最初に勝利してから60年を祝うリリースを発表した。

1960年の初優勝から積み重ねること81勝のロータスF1チーム

 英ロータス・カーズは2020年5月28日、フォーミュラ1(F1)でロータスが最初に勝利してから60年を祝うリリースを発表した。

1960年F1モナコGP、スターリング・モスが運転するロータス・タイプ18
1960年F1モナコGP、スターリング・モスが運転するロータス・タイプ18

 いまから60年前の1960年5月29日、“サー”の称号で知られるスターリング・モスは、モンテカルロの路上で雨の中を「ロータス・タイプ18」で戦い、モナコGPを制した。これがロータスのF1世界選手権での最初の勝利だった。

 モスは予選で、ロータス史上初のポールポジションを獲得し、決勝でも完璧な走りを見せた。100周を完走したのは上位3名のみで、もっともライバルとされたブルース・マクラーレンに52秒の差をつけて優勝した。

 それ以来、ロータスの優勝は81勝を数え、ドライバーズチャンピオンが6回、コンストラクターズチャンピオンは7回、表彰台は157回、ポールポジションは107回、最速ラップは71回を数える名門チームとなっている。

 ロータスF1のドライバーは、モスをはじめジム・クラーク、グラハム・ヒル、マリオ・アンドレッティ、ナイジェル・マンセル、アイルトン・セナ、中嶋 悟、ネルソン・ピケ、ミカ・ハッキネン、ジョニー・ハーバート、キミ・ライコネンなど、錚々たるメンバーが名を連ねる。

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 ロータス・カーズCEOのフィル・ポパムは「ロータスの歴史の中で時代の幕開けになった日を記念します。モス卿はモータースポーツに刻まれた名前であり、ちょうど60年前のモナコGPでのパフォーマンスは、F1での成功のきっかけになりました。可能性の限界を探るという圧倒的なドライビングは、今日に至るまでロータスのDNAに刻み込まれています」とコメントする。

 クラシックチーム・ロータスのマネージングディレクターであり、ロータス創始者コーリン・チャップマンの息子、クライブ・チャップマンは「モス卿が1960年のモナコGPで勝利したことは、まだ黎明期にあったロータスブランドにとって重要な後押しになりました。モス卿は思慮深く、速く、メカニックにも紳士的でした。そのすべてが重なったことが、3時間にもおよぶモナコGPで勝利できた理由でしょう」と語る。

 このとき、モスがドライビングしたのは、プライベートチーム「ロブ・ウォーカー・レーシングチーム」のロータス「タイプ18」だった。このチームはジョニー・ウォーカー・ウイスキーの後継者であるロブ・ウォーカーによって設立されたという。

 チャップマンは「ロブ・ウォーカーと父はお互いに良い関係を築き、1960年代をとおして大成功を収めました。またウォーカーとスターリング・モス卿の関係はさらに強固なもので、ウォーカーはプライベーターとして、またスポンサーとして、モスの驚異的な能力を実現するために必要なものを提供していました」とコメントしている。

 ロータスとモナコGPとの特別な関係が始まったのは、この1960年のモスからだ。チャップマンは「1960年の優勝は、チーム・ロータスがF1に初参戦したモナコGPで。クリフ・アリソンがロータス・タイプ12を駆って6位という驚異的な成績を収めてから、わずか2年後のことでした」と語っている。

1960年F1モナコGPで優勝したスターリング・モス。モスは結局、一度もF1でドライバーズチャンピオンになることなく現役を引退、「無冠の帝王」と呼ばれた
1960年F1モナコGPで優勝したスターリング・モス。モスは結局、一度もF1でドライバーズチャンピオンになることなく現役を引退、「無冠の帝王」と呼ばれた

 スターリング・モスは、何度もF1で優勝しながら、結局一度もドライバーズチャンピオンになることはなかった。F1での優勝は通算16勝。1963年に32歳で現役を引退している。

 「無冠の帝王」や「F1チャンピオンになっていないもっとも偉大なドライバー」と称されるモスは、2020年4月12日にロンドンの自宅で亡くなった。享年90歳だった。

F1名門チームの歴史はここから始まった 1960年モナコGPを画像でチェック(10枚)

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