ライバルは「M」と「AMG」!? アルファ ロメオの「GTA」の意味とは?
ヒット作「156」にもあった「GTA」とは、どんなクルマ?
前世紀末に誕生、デビュー年には欧州COTYにも輝いた「156」は、アルファ ロメオのみならず、同時代のスポーツサルーンのなかでも随一の魅力を誇るモデルであった。
とくに2002年に追加された最上級スポーツ版の「156GTA/156スポーツワゴンGTA」は、「かつての名作ジュリア・スプリントGTAの誕生から36年の時を経て誕生した新世代のGTA」とアルファ ロメオ社が自ら謳ったように、156のスポーツ性をさらに増進させたモデルといえるだろう。
●156GTA/147GTA(2002年)
車両重量はベルリーナ(セダン)の156GTAで1420kg、スポーツワゴンGTAでは1510kg。
156ベルリーナ同士で比較すれば、2.5リッターV6モデルに対して60kgアップと、決して「アレジェリータ(軽量化した)」ではなかったものの、サスペンションやブレーキには高度なチューンが施されるとともに、ボディワークもスポーティかつ官能的なデザインのエアロパーツで武装された。
また、設計者ジュゼッペ・ブッソ技師の名前から「ブッソーネV6」と呼ばれるアルファ ロメオの至宝V6ユニットは、3.2リッターまで排気量アップするとともに、吸排気系および専用ECUなどのチューンが施されて250ps/6200rpmのパワーと、30.6kgm/4800rpmの最大トルクを発生。
胸のすくようなパフォーマンスに加えて、魅惑的なエキゾーストサウンドまで両立したことから、当時のエンスージアストを狂喜させることになった。
くわえて、イタリア国内選手権「スーペルトゥリズモ」や「FIA-ETCC」選手権などのツーリングカーレースでは、現在のアバルトの前身である「Nテクノロジー」社が仕立てた、完全レース仕様の「156GTAスーパー2000」が大活躍。
こちらはレギュレーションの関係から直列4気筒2リッターエンジンが搭載されたが、当時「Cuore Sportiva(スポーツスピリット)」を社是としていたアルファ ロメオ市販車すべてのイメージアップにも、大いに貢献したといえるだろう。
一方、156GTAの誕生からほどなくデビューした「147GTA」は、コンパクトな3ドアハッチの147に156GTAと同じく250psを発生するV6エンジンを詰め込んだモンスター。
ハイパワーFFゆえのじゃじゃ馬的な走りっぷりと、156GTAと同様にワイルドかつ官能美溢れるアピアランスに惹かれるファンは、現在でも数多く存在する。
●MiTo GTA Concept(2009年)
新時代のGTAを模索するため、2009年春のジュネーヴ・ショーにて発表されたコンセプトカーが、「MiTo GTA Concept」だ。
アルファ ロメオでは史上初となった、セグメントBコンパクトハッチの「MiTo」をベースとする超辛口なホットハッチである。
「GTA」、つまり軽量スペシャルの伝統を体現するため2シーター化を施したほか、ルーフやリアスポイラー、ドアミラーなどにカーボンファイバー素材を使用。
サスペンションにブレーキ、シャシの一部などがアルミ化されるなど、かなりドラスティックな「アレジェリータ化」を施したとアピールしていたのだが、正確な車両重量のスペックは未公表だった。
一方シャシについては、前後サスペンションのジオメトリー見直しや、車高を20mmローダウンさせるコイルスプリングの採用により、大幅な低重心化に成功したと謳われた。
また、フロントバンパーやサイドシルスカート、リアスポイラーといったエアロパーツ類に加え、ボンネットや前後フェンダーまでも、新たにデザインされた専用パーツに置き換えられ、空力特性も向上。獰猛なアピアランスを醸し出すことにも成功していた。
パワーユニットについては、スタンダードのMiToが1.4リッター「マルチエア」に限定されていた(のちに本国/EU仕様では直列2気筒875ccの「ツインエア」エンジンも搭載)のに対して、3代目「ジュリエッタQV」や「4C」と基本を同じくする、直列4気筒直噴ターボ1750TBi・240psエンジンを搭載すると伝えられた。
MiTo GTAについては、当時の国内外のスクープ系メディアでは「2009年中には生産型が発売される」という噂も流布されていたのだが、残念ながら正式リリースに至ることはなく、さらにMiToシリーズ自体も2019年初頭をもって生産を終えてしまった。
ハコの車のレースは難しい。やりすぎてグループAなんかオンもオフも無くなっちゃったからな。