公共駐車場の「とまれ」は無視でもOK!? 厳守しないと違反行為? 公道扱いになるのか
ショッピングモールや百貨店の駐車場には、公道と同じように「止まれ」や「徐行」などの道路標識があります。敷地内にある道路標識を無視した場合、一般道のように交通違反になるのでしょうか。
ショッピングモールや百貨店の駐車場には道路交通法が適用されるのか?
全国各地に点在するショッピングモールや百貨店などの商業施設の駐車場には、公道と同様の道路標識が設置されていることがあります。横断歩道や「とまれ」の標識は、公道とまったく同じデザインのものが存在し、ドライバーに対して公道同様の注意を促しています。
しかし、ショッピングモールの駐車場はあくまで私有地であり、公道ではありません。もしも歩行者のいる横断歩道や、「とまれ」で停止しなったりした場合、道路交通法違反となってしまうのでしょうか。
道路交通法の第2条第1項によれば、道路交通法が適用されるのは道路や自動車道のほか、「一般交通の用に供するその他の場所」とされ、「不特定多数の人や車両が自由に通行できる場所」に適用されるとしています。
例えば、2002年10月に神戸地方裁判所でおこなわれた裁判では、駐車場の一部が道路交通法2条1項1号の道路に当たるとされた判例があります。
事件現場は、管理者が常駐しない最大30台ほどを収容できる駐車場でした。近隣の飲食店など複数店舗が共同で借り受け、お客さま用駐車場として提供されていた場所です。被告はこの駐車場で深夜、軽自動車を無免許で飲酒運転をしたとして裁判になりました。
争点は、現場となった駐車場が道路交通法のいう「一般交通の用に供するその他の場所」にあたるかどうかでした。
結果は、深夜であっても実際に近隣店舗の利用者がこの駐車場にクルマを停めており、駐車場の立地と構造から一般の通行人が通り抜けていたことも否定できず、「一般交通の用に供するその他の場所」とされ、道路交通法が適用される結果となっています。
また、「とまれ」などの道路標識ついては、道路交通法第4条第1項において「信号機や道路標識の設置と管理は都道府県公安委員会が行う」とされ、守らなければ道路交通法違反となります。
では、ショッピングモールなどの私有地に設置されているものも、公安委員会が設置した法的な力があるものなのでしょうか。
ショッピングモールの担当者は、敷地内の道路標識について次のように話します。
「駐車場内にある標識などは、弊社が独自に設置したものです。法律によって強制するものではありませんが、歩行者の安全のためにも守っていただけたらと思います」
ショッピングモールなどの事業者が自ら設置したものであり、道路交通法が定めるように、公安委員会の設置する道路標識のような法的な拘束力はありません。
道路標識の柱には設置者のラベルが貼られており、それを見れば公安委員会が管理しているのか、道路管理者が管理しているのか判別できるようになっています。
また、駐車場内の道路標識について、施工会社の社員は以下のようにも話しています。
「道路標識自体には著作権がありません。使用にあたっては一定のルールがありますが、公道の標識と同じデザインでも法的な問題はありません。むしろ、まったく同じ標識にすることで、ドライバーに効果的な注意喚起ができると思います」
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国土交通省によれば、道路標識のデザインは「著作権法」における著作権の対象にならないと規定されています。
使用にあたっては利用者に混乱を与えることのないよう十分な配慮をするなど一定の規定がありますが、ショッピングモールなどに設置されている道路標識は、さまざまなルールに基づいて設置されているといえるでしょう。
違反にならないから止まらない。と言う考え方はダメだろw