トヨタ社長「過去に時間を使うのは私で最後に」営業利益8割減も止めない新型投入と改革の理由
“ポスト章男”に向け本格化? トヨタが取り組む今後の改革とは
今回のトヨタ決算発表で、もっとも気になったのは、豊田章男社長の“今後”です。
大幅な台数減と営業利益減を公表していても、会見に臨んだ豊田社長は「(コロナ禍の影響が深刻になってからも)私は落ち着いている」と緊張感を持ちながらも自然体な表情が印象的でした。
現状と過去を比較するため「リーマンショック、急激な円高、東日本大震災などの影響でトヨタはいつも平穏無事ではなかった」と、社長就任以来11年間を、トヨタとしての変革ステージをひとつひとつ追いながら説明しました。
そのなかで、社長就任について社内外から否定的な声が多かったことも明らかにしています。
直近では「トヨタらしさを取り戻す闘い」と、未来に向けたトヨタのフルモデルチェンジが必要だと強調しました。そのために、役員・組織体制の根本的な見直しや、労使間・従業員との本気・本年のコミュニケーションを実行してきたと説明。
さらに「過去に時間を使うのは私で最後にしたい。次の世代は未来に時間を。だからこそ今は未来への種まきが必要だ」ともいいます。そのうえで「次世代へ、たすきを渡したい」と。
業界内で噂されている、豊田社長の日本自動車工業会・会長任期が切れる2022年5月の“世代交代”が現実味を帯びてきた印象があります。
どんなに厳しい状況でも、石にかじりついてでも、日本国内300万台生産体制は維持する。日本でのモノづくりは続ける。そのためには人材を確保し、そして育てる。
そう熱く語る豊田社長の手腕に、いま一度、大いに期待したいと思います。
Writer: 桃田健史
ジャーナリスト。量産車の研究開発、自動車競技など、自動車産業界にこれまで約40年間かかわる。
IT、環境分野を含めて、世界各地で定常的に取材を続ける。
経済メディア、自動車系メディアでの各種連載、テレビやネットでの社会情勢についての解説、自動車レース番組の解説など。
近著に「クルマをディーラーで買わなくなる日」(洋泉社)。
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