コロナ後の景気対策案に浮上した高速道路無料化。もういちど過去の道路政策を振り返る

リーマンショックに対する景気対策としておこなわれた「高速道路休日1000円」

 ところでもうひとつ、高速道路の通行料金で思い出す政策があるだろう。それは「休日1000円」だ。

国土交通省がまとめた「高速道路休日1000円の検証」のデータによると、当時「休日1000円」をおこなうことによる観光消費の経済効果は年間約8000億円と試算されていた
国土交通省がまとめた「高速道路休日1000円の検証」のデータによると、当時「休日1000円」をおこなうことによる観光消費の経済効果は年間約8000億円と試算されていた

 これは民主党が政権を取る前の2008年秋、アメリカの投資銀行リーマン・ブラザーズが経営破綻したことによる世界規模の金融危機「リーマンショック」に対する景気対策として、当時与党だった自民党が実施したもの。

 その内容は、土日祝日の休日、高速道路や自動車専用道路の通行料金を、ETC搭載車に限り普通車や軽自動車、バイクも含め距離71km以上(軽自動車は89km以上)は一律、上限1000円で通行可能とした政策だった。休日だけでなく、前日または翌日が休日となる平日や、お盆、年末年始の平日にも適用されていた。

 これは2009年3月から2011年6月までの期限付きで実施されたが、この政策も振り返ってみよう。

 国土交通省が実施終了直後の2011年7月に発表した内容によると、

●直接的な観光経済効果は年間約3600億円。間接的な効果を含めた経済効果は年間で約8000億円と試算
●観光やレジャー・帰省などで国内旅行に出かけた回数は前年度と比べて、日帰り旅行で1.3倍、宿泊旅行では1.2倍に増加。
●都道府県別に見ると、東北や四国エリアで観光客数が増加。とくに首都圏から遠方のエリアへの利用台数が大幅に増加した。実施した2009年と実施前の2008年を比較すると、GW期間だけで1日あたり5000台以上も増加したエリアが出たほか、通常の休日でも同様の台数を記録したエリアが複数箇所出ている。

 結論としては地域活性化に経済効果があったことが確認されている。

 だが一方で、対象となった主要高速道路では実施前の約3倍という激しい渋滞が発生したことや、高速バスやフェリーなどの乗客が減少するといった、他の交通機関への影響があったことも指摘されている。

 もし「高速無料化」や「休日1000円」などが実施された場合、大規模渋滞や他の事業者への影響も無視できるものではないが、コロナウイルス感染拡大の影響で地方の観光業界を中心に大打撃を受けている現状、一刻も早く感染拡大を終息させて、景気対策の起爆剤として期待したいものだ。

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