ベルトーネの夢の跡、世界に1台しかない激レアスーパーカー3選
後世のカーデザインに影響を与えた、ベルトーネのコンセプトカーたち
フェラーリ308GTレインボーの登場からちょうど一年後、1977年のトリノ・ショーにてワールドプレミアに供されたジャガー「XJアスコット」は、その2年前にデビューしていたイギリスの高級パーソナルクーペジャガー「XJ-S」をベースに製作されたコンセプトカーだ。
V型12気筒5.3リッターエンジンに代表される、量産向けながら高度なメカニズムを流用したことは、当時としては最良の選択と評されたという。
●ジャガーXJアスコット
ファストバックの2+2クーペとされたボディは、308GTレインボーに代表される同時代のマルチェッロ・ガンディーニ作品が追求してきた独特のデザインランゲージを、大柄なFRクーペに投影したものだ。
いわゆる「ウェッジシェイプ」をそのまま体現したようなプロポーションや、後輪をシャープなデザインのスパッツで覆うスタイルなどにも、1年違いの308GTレインボーと同じラインを感じとることができる。
加えて、それから遡ること10年前、1967年に同じジャガーの「Eタイプ」をベースとしてワンオフ製作し、ランボルギーニ「エスパーダ」のデザイン上のベースとなったことでも知られるジャガー「ピラーナ」を、その作者であるガンディーニが自らモダナイズしたものともいえるかもしれない。
蛇足ながら、大のジャガー・ファンで1992年型XJSを愛用していたこともある筆者にとって、この時のベルトーネ企画展のなかでもっとも惹かれたのが、実はジャガーXJアスコットだったのだ。
●アストンマーティン・ジェットII
2004年のジュネーヴ・ショーにて発表されたアストンマーティン「ジェットII」は、まだ正式発売から間もなかった初代「V12ヴァンキッシュ」をベースとして、より実用性も追求したモデルである。
初代「ジェット」は、アストンマーティン「DB4GT」がベース車両として用いられ、1961年にベルトーネが製作した。当時のベルトーネは、ジョルジェット・ジウジアーロがスタイリストの地位にあった。
ジェットIIは、V12ヴァンキッシュのアルミ合金製スペースフレームをもとに、カーボンファイバー製サブフレームなどを組み合わせることで、ホイールベースを210mm延長。ルーフを後方まで延ばしたことで、小さいながらも後席を設置した。
さらにラゲッジスペースも拡大し、リアゲートも設けたことで、現代の「シューティングブレーク」の先駆けにもなった。
このクルマは、アストンマーティンのカタログモデルとしての採用を目指したコンセプトカーではなく、ごく一部の富裕な顧客を対象に限定生産を促すためのショーケースとして開発されたといわれている。
しかし、残念ながらベルトーネへのオファーは数少なく、この1台のみ、ないしはもう1台のみの製作で終わったとされている。
* * *
今回紹介した3台のほかにも、ヴォランディアのベルトーネ展は、よそではけして見られない素晴らしいコレクションばかりが数十台も展示される。前述したとおり期間限定の企画展とされつつも、少なくとも2020年4月現在で公式HPを見る限りでは、終了に関するアナウンスはない様子である。
したがって、現在全世界を震撼させている新型コロナウィルス感染症の惨禍が終息し、もっとも甚大な被害を被っているイタリアになんとか平穏が戻ってくれたならば、きっと再開されたのちにもしばらくは楽しめると見て間違いないものと期待している。
近い将来、再びミラノを訪れる機会を待ち望んでいるエンスージアスト諸氏には、是非ヴォランディアにも訪問されることをお勧めしておきたい。
フェラーリベルトーネレインボー懐かしいですね。赤いペガサスの赤馬 研の愛車だよ。
そうそう 暴走族に死のおしおきをしてたよな。
スーパーカーブームのころのマンガはわりとそんなの多かったよね、アルファロメオ・ナバホとか乗ってた悪役とかいたり。