スズキが「ジムニートラック」に本気!? ピックアップ登場は2023年頃か?
ピックアップスタイルはジムニーの自然な姿だった
日本メーカーのSUTでは、スバル「バハ」と、ホンダ「リッジライン」の2モデルが挙げられます。
バハは、カリフォルニア南部からメキシコにかけてのバハでおこなわれるダートレースの雰囲気と、サーファーのイメージを融合させました。
北米スバル本部からの強い推しで商品化されましたが、スバルは当時マイナーブランドで、ベース車「レガシィランカスター(アウトバック)」の認知度が低く、その派生車の販売台数は限定的でした。
リッジラインも、スバルと同様に北米営業本部が主導で導入したモデルです。トヨタや日産がV型8気筒エンジン搭載のフルサイズピックアップトラックに参入するなか、ホンダ社内でV型8気筒導入案が消え、既存のV型6気筒エンジンを使い、他社と商品の差別化が図れるアイディアとして、SUVの「パイロット」派生のSUTとなったものです。
このほかでは、ハマー「H2 SUT」とハマー「H3T」が登場したことで、SUTの市民権が得られるかと思いましたが、リーマンショックでGMが事実上の倒産となり、ハマーだけではなく、SUT市場全体が北米市場から一気に姿を消しました。
現在、日本車ではダイハツ「ハイゼットカーゴ デッキバン」が、SUTのテイストが少しありますが、世界市場で見るとSUTは10年以上前に“終わったブーム”です。そんな昔のブームを、ジムニーがなぜいま頃になって引き出してきたのでしょうか。
そもそも、初代ジムニー(LJ10)はルーフのない、オープンスタイルのクルマです。ルーフの代わりに幌が用意されていました。
ハードなルーフがついたモデルは、ジムニーバン(LJ20)と呼ばれます。見方はいろいろあると思いますが、ジムニーはこの時点でSUVである、と考えることもできます。
2代目(SJ30)になると、ハードルーフのモデルが主力なっていきます。そのなかで、前出の「1000ピックアップ」が生まれました。
3代目(JB23)は乗用ライクな商品イメージに転向。現行型の4代目は、初代や2代目など、ジムニー初期への原点回帰を掲げたモデルです。
このように、初代と2代目には、そもそもSUTのエッセンスがあるのですから、「ジムニーシエラ・ピックアップトラックスタイル」はジムニーにとっての自然な姿なのだと思います。
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唯一無二の、小型本格派四駆であるジムニー。SUT派生車の登場に期待が高まりますが、量産はいつ頃の可能性があるでしょうか。
量産の条件として、ジムニー開発担当者が指摘したのは「お待ちいただいているお客さまにお届けすることが先決」という点です。
現状で、ジムニーの納期は約1年といわれています。最近の受注状況を見ると、私見ですが、あと2年から3年たてば、納期がある程度の長さで落ち着くのではないでしょうか。
そうなれば、ジムニー生産をおこなう静岡県湖西工場で、ジムニーSUTを流す余裕が生まれるかもしれません。
Writer: 桃田健史
ジャーナリスト。量産車の研究開発、自動車競技など、自動車産業界にこれまで約40年間かかわる。
IT、環境分野を含めて、世界各地で定常的に取材を続ける。
経済メディア、自動車系メディアでの各種連載、テレビやネットでの社会情勢についての解説、自動車レース番組の解説など。
近著に「クルマをディーラーで買わなくなる日」(洋泉社)。
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