フェラーリ本社の社食を実食! 表彰台に登った気分に浸れる社員食堂とは

F1コンストラクターとして、常に勝利することを期待されているフェラーリ。そのフェラーリ本社の社員食堂の名前は、ズバリ「Ristorante il Podio(=表彰台)」。表彰台という名の社食のメニューとは、いったいどんなものだろうか。

フェラーリ本社の社員食堂の名前は「表彰台」だった!

 フェラーリ本社のあるマラネッロは、クルマ好きにとっての聖地であるがゆえに、観光地化されている街である。ファクトリーツアーも開催されているので、本社の敷地内に入ることも可能だが、フェラーリの社員食堂での食事までは、ツアーに組み込まれていない。

 そこで、フェラーリ本社で働く人たちがどのようなランチを食べているのか、実際に社員食堂で試食してみた。

旧フェラーリ正門を抜けてすぐ右手にあるフェラーリのクラシケ部門
旧フェラーリ正門を抜けてすぐ右手にあるフェラーリのクラシケ部門

 創業当時の面影を残すフェラーリ本社の玄関は、映画『フォードvsフェラーリ』の劇中で、アイアコッカがエンツォに会いに来たシーンにも登場する、マラネッロを象徴する場所だ。観光客が記念撮影するスポットもこの場所である。

 この玄関を入った右手には、フェラーリのレストア部門であるクラシケの建物があり、クラシックフェラーリがこの門から出てきたら、とてもよく似合う歴史を感じさせる玄関である。

 現在、従業員の多くが使用する玄関は、この古い玄関の反対にある現代的なゲートとなっている。このゲートの前に広い駐車場が完備されており、従業員はその駐車場に車を停めて出社する。

 レンゾ・ピアノ設計の開発センターと空力テスト用の風洞などがあるこちら側が、フェラーリのいまを象徴していると言えるだろう。

 フェラーリのファクトリーには、組立ラインだけでなく、エンジンを鋳型から成型する工場も併設されている。ランボルギーニと違い、エンジンも自社工場謹製というわけだ。

 敷地は異なるが、F1の開発を行うスクーデリアをはじめ、開発部門や先述のクラシケ部門など、さまざまな部門で多くの人が働いている。これら従業員の胃袋を満たしているのが、社員食堂である。

いまや観光スポットとなっている、趣のあるフェラーリの旧正門
いまや観光スポットとなっている、趣のあるフェラーリの旧正門

 フェラーリの現在の正門を抜け、左手にレンゾ・ピアノ設計の風洞を見ながら真っ直ぐ進むと、右手にガラス張りの建物が見えてくる。建物の前には赤い標柱が立っており、「Ristorante il Podio」の文字。直訳すると「レストラン表彰台」。ネーミングからして、さすがF1コンストラクターだ。

 広いエントラントから2階へと階段を上がると、そこがカフェテリア方式の社員食堂だ。訪れたのは、ちょうどランチ時であった。

 カフェテリア方式なので、まずはトレーを手に取り、赤いユニフォームのフェラーリスタッフに混じって列に並ぶ。従業員たちがイタリア語でオーダーしていく隣で、彼らと同じようにメニューを指差ししてオーダーしていたら、とても一人で食べきれないほどの量になってしまった。

ボリュームたっぷりのフェラーリの社食。メニューは自分でセレクトできる
ボリュームたっぷりのフェラーリの社食。メニューは自分でセレクトできる

 ペンネにはボロネーゼがかけられ、粉チーズがこれでもかとばかり振りかけられていた。日本のレトルトのミートソースと違って、しっかりと「肉感」がある。さすがは本場だけあって、しっかりした味付けだった。

 ソーセージは、超粗挽きで旨味と脂身たっぷり。イタリアで言うところのサルシッチャだ。口の中にいつまでも脂が残るため、ひと口食べるごとに、パンを口に放り込まないと、味覚がおかしくなりそうだ。

 サラダには自分でバルサミコとオリーブオイルをかけて、塩・胡椒で味を整えた。いわゆるサラダドレッシングのたぐいは用意されていない。

 私と同量もしくはそれ以上の量を、まわりのフェラーリスタッフたちはにぎやかに食べていた。赤いユニフォームを着たスタッフたちが多かったせいか、社員食堂もチームフェラーリといった雰囲気。

 そういえば、社員食堂の名前は「表彰台」。F1コンストラクターとして、そして揺るぎないスーパーカーブランドとして世界に君臨するフェラーリだが、それはフェラーリで働く、表には名前が出てこない大勢の従業員あってこそである。

 つまり、2階に上がらなければならないフェラーリの社員食堂は、いうなれば従業員全員が登る表彰台、といったところだろうか。

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