俗に「高級車は家を建てられるほど高い」といわれることがあります。では、高級車と同じ金額を出すとしたら、どのような家が買えるのでしょうか。

　国土交通省が毎年1月1日に発表している「地価公示」では、全国各地の土地の価格を判定・公示しています。

　それに基づいて不動産取引価格などの情報を検索できる、国土交通省の「土地総合情報システム」を使うと、地域ごとの坪単価を見ることができます。

　最新の土地データは2019年第3四半期（7月から9月）で、この時点でもっとも坪単価が高い土地は「東京都中央区銀座」でした。

　価格は、1坪4200万円にのぼります。1坪は約3.3平方メートル、畳だと2畳分に相当する土地です。

　国土交通省が2018年に発表した資料によれば、一般的な日本の一戸建て住宅の平均坪数は30坪から40坪とされており、これを銀座に当てはめると、12億6000万円から16億8000万円という途方も無い金額となります。

　国産車でもっとも高額といわれる、レクサス「LFA」は3750万円、輸入高級車として知られるロールス・ロイスで、もっとも高額な「ファントム エクステンデッド ホイールベース」は6670万円という金額です。

　しかし、東京の一等地では、「数千万円もする超高級車1台程度」では、土地すら買えない計算となります。

　東京都で最高値の場所となると途方も無い数字になりますが、それ以外の場所ではどうなのでしょうか。

　ロールス・ロイスと同じく、英国の高級車メーカーとして知られるベントレー「ミュルザンヌ」の3672万1000円、もうひとつの指標として、メルセデス・ベンツの高額車種である「AMG G63」の2114万円を例に同等の価格で購入できる物件を東京都、神奈川県の首都圏から見ていきましょう。

　全国の不動産情報を扱うサイトによれば、ミュルザンヌと同じ3700万円だと、東京23区で新築マンションや、新築戸建住宅を購入することができます。

　例えば、東京でもっとも土地が高いとされる中央区でも、1Rから1LDKのマンションが2990万円から4290万円で販売。新築戸建物件でも、目黒区五本木に1LDKで3280万円、文京区に1SLDKで3580万円の新築物件を購入できます。

　AMG G63の約2100万円で購入できる新築物件の場合、東京都23区0件、23区外が53件。神奈川県では横浜市12件、そのほかの地域で147件でした。

　ミュルザンヌの価格だと、東京都23区829件、23区外2654件、神奈川県では横浜市だけで2206件、そのほかの地域でも2748件あることから、2000万円の差がはっきりと浮かび上がります。

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　世界でもトップクラスに土地の価格が高いとされる東京では、ベントレーやメルセデス・ベンツを持ってしても、簡単に家を買うことはできないようです。

　しかし、ある転職支援サイトによれば、年代別平均年収は、20代が345万円、30代が442万円、40代が507万円、50代以上が622万円となっています。

　クルマと家の価格を比較するとわかりづらくなるかもしれませんが、どちらも年収の何倍もする商品であり、ミュルザンヌに至っては、平均的な年収の20代が10年働いたとしても買えるクルマではないことがわかります。

　家に匹敵するか、それ以上の価格となるミュルザンヌやAMG G63などの高級車の値段は、やはり桁違いのようです。